早期発見・早期治療で完治も可能！胃がんの基礎知識から最新治療法まで徹底解説
胃がんは、日本人にとって最も身近ながんのひとつです。しかし、早期発見・早期治療によって治癒率は高く、予防も可能です。この記事では、胃がんの基礎知識から最新の治療法、そして日々の生活でできる予防策まで、詳細な情報を交えてわかりやすく解説します。あなた自身と大切な人の健康を守るために、ぜひ最後まで読んでみてください。
1. 胃がんってどんな病気？
胃がんは、胃の粘膜にできる悪性腫瘍です。胃は、食べ物を消化するための臓器で、胃酸や消化酵素を分泌しています。胃がんは、この胃の粘膜細胞が何らかの原因でがん化し、無秩序に増殖することで発生します。
胃がんは、発生する場所によって、胃底部がん、胃体部がん、幽門部がんに分類されます。また、がん細胞の種類によって、腺がん、扁平上皮がん、悪性リンパ腫などに分類されます。
初期の胃がんは自覚症状がないことが多く、進行すると食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、体重減少などの症状が現れることがあります。胃がんは進行度によってステージ0からステージIVに分けられ、早期（ステージ0、I）であれば内視鏡治療で完治が期待できる場合もあります。ステージが進むにつれて、手術や抗がん剤治療、放射線治療などが必要となり、治療の難易度も上がります。
2. 胃がんの原因とリスク要因
胃がんの原因は、まだ完全には解明されていませんが、いくつかのリスク要因が知られています。
- ピロリ菌感染: ヘリコバクター・ピロリ（ピロリ菌）という細菌に感染すると、胃がんのリスクが大幅に高まります。ピロリ菌は、胃の粘膜に炎症を起こし、長期間にわたって慢性的な炎症が続くことで、がん化を促進すると考えられています。ピロリ菌感染者は、非感染者に比べて胃がんになるリスクが5～6倍高くなると言われています。
- 食生活: 塩分の多い食事、燻製食品、加工肉などの摂取は、胃がんのリスクを高める可能性があります。これらの食品は、胃の粘膜を刺激し、炎症を引き起こす可能性があるためです。また、野菜や果物の摂取が少ないことも、胃がんのリスクを高めるとされています。
- 喫煙: 喫煙は、胃がんのリスクを2倍以上に高めることが知られています。たばこの煙に含まれる発がん性物質が、胃の粘膜にダメージを与え、がん化を促進すると考えられています。また、喫煙はピロリ菌感染のリスクも高めます。
- 飲酒: 過度な飲酒は、胃がんのリスクを高める可能性があります。アルコールは、胃の粘膜を刺激し、炎症を引き起こす可能性があるためです。特に、日本酒や焼酎など、アルコール度数の高いお酒は注意が必要です。
- 加齢: 年齢を重ねるほど、胃がんのリスクは高まります。50歳以上は特に注意が必要です。
- 遺伝: 家族に胃がんになった人がいる場合、胃がんのリスクが高まる可能性があります。特に、両親や兄弟姉妹など、血縁関係の近い人が胃がんになった場合は、注意が必要です。
- その他: 慢性胃炎、胃潰瘍、胃ポリープなどの胃の病気がある場合も、胃がんのリスクが高まります。これらの病気は、胃の粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、がん化を促進する可能性があるためです。
3. 胃がんの初期症状を見逃さない！
胃がんの初期症状は、以下の通りです。
- 食欲不振: 食欲がなくなり、体重が減少することがあります。特に、肉類や油っぽいものが食べられなくなることがあります。
- 吐き気・嘔吐: 特に食後に吐き気や嘔吐が起こることがあります。吐血やコーヒー残渣のような黒い吐物がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
- 腹痛: みぞおちのあたりに鈍い痛みを感じることがあります。食後や空腹時に痛みが強くなることがあります。
- 胸やけ: 食後に胸やけや胃もたれを感じることがあります。胃酸が逆流することで起こります。
- 貧血: 吐血や下血によって貧血が起こることがあります。顔色が悪い、疲れやすい、動悸がするなどの症状が現れます。
- 黒色便: 便が黒くなることがあります。これは、出血した血液が消化管を通過することで起こります。
これらの症状は、胃がん以外の病気でも見られることがあります。しかし、これらの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
4. 胃がんの診断方法
胃がんの診断には、以下の検査が行われます。
- 胃カメラ検査 (上部消化管内視鏡検査): 口から細い管状のカメラを挿入し、胃の内部を観察します。胃がんの診断に最も重要な検査で、直接胃の粘膜を観察し、必要に応じて組織を採取することができます。
- バリウム検査 (上部消化管X線検査): バリウムという造影剤を飲んで、胃のX線写真を撮影します。胃がんの有無や場所、大きさなどを調べることができます。胃カメラ検査が難しい場合や、胃カメラ検査で異常が見つかった場合に追加で行われることがあります。
- CT検査: 胃がんの広がりやリンパ節転移の有無などを調べることができます。胃がんのステージを診断する上で重要な検査です。
- PET検査: がんの活性度や転移の有無などを調べることができます。胃がんの診断や治療効果の判定に用いられます。
- 血液検査: 腫瘍マーカー（がん細胞が産生する物質）の値を測定し、胃がんの可能性を評価します。CEA、CA19-9、CA72-4などが胃がんの腫瘍マーカーとして用いられます。
5. 胃がんの治療法：最新情報と選択肢
胃がんの治療法は、がんの進行度（ステージ）や種類、患者さんの年齢や健康状態などによって異なります。
- 手術: 胃がんの治療の基本は手術です。早期胃がんの場合は、内視鏡的粘膜切除術（EMR）や内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）などの内視鏡治療が可能です。これらの治療法は、胃の粘膜だけを切除するため、身体への負担が少なく、入院期間も短くて済みます。進行胃がんの場合は、胃切除術が行われます。胃切除術には、胃の一部を切除する幽門側胃切除術や、胃全体を切除する胃全摘術などがあります。
- 化学療法 (抗がん剤治療): 手術で切除できない胃がんや、再発・転移した胃がんに対して行われます。抗がん剤を点滴や内服で投与し、がん細胞を攻撃します。化学療法は、手術の前に行う術前化学療法と、手術の後に行う術後化学療法があります。
- 放射線治療: 手術で切除できない胃がんや、再発・転移した胃がんに対して行われます。放射線を用いてがん細胞を破壊します。放射線治療は、手術と併用して行われることもあります。
- 免疫療法: 患者さん自身の免疫力を高めて、がん細胞を攻撃させる治療法です。胃がんの免疫療法薬として、オプジーボやキイトルーダなどが承認されています。
- 分子標的薬: がん細胞の特定の分子を標的として、がん細胞の増殖を抑制する薬です。胃がんの分子標的薬として、ハーセプチンやサイラムザなどが承認されています。
近年では、手術の技術や薬物療法が進歩し、より患者さんの負担が少ない治療法が選択できるようになっています。主治医とよく相談し、自分に合った治療法を選びましょう。
6. 胃がんを予防するためにできること
胃がんのリスクを減らすために、以下のことに取り組みましょう。
- ピロリ菌の除菌: ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療を受けることで、胃がんのリスクを大幅に減らすことができます。除菌治療は、抗生物質と胃酸を抑える薬を1週間服用するだけの簡単な治療です。
- バランスの取れた食事: 野菜や果物を多く摂り、塩分の多い食事、燻製食品、加工肉などを控えることが大切です。特に、緑黄色野菜やビタミンCを多く含む食品は、胃がんの予防に効果があるとされています。
- 禁煙: 喫煙は胃がんのリスクを高めます。禁煙することで、胃がんだけでなく、他の病気のリスクも減らすことができます。
- 節度ある飲酒: 過度な飲酒は胃がんのリスクを高めます。節度ある飲酒を心がけ
ましょう。日本酒や焼酎など、アルコール度数の高いお酒は特に注意が必要です。
- 定期的な検診: 40歳以上の方は、定期的に胃がん検診を受けましょう。胃がん検診は、バリウム検査や胃カメラ検査などがあります。早期発見が、胃がんの治療成功の鍵となります。特に、ピロリ菌感染者や、胃がんのリスクが高いとされる人は、定期的な検診が重要です。
- ストレスをためない: ストレスは、胃の働きを悪くし、胃がんのリスクを高める可能性があります。ストレスを解消する方法を見つけ、リラックスできる時間を取りましょう。
- 十分な睡眠: 睡眠不足は、免疫力を低下させ、がんのリスクを高める可能性があります。毎日7時間程度の睡眠を確保するように心がけましょう。
7. 胃がんと向き合うあなたへ
胃がんと診断されたとしても、決して諦めないでください。早期発見・早期治療によって、多くの方が胃がんを克服し、充実した生活を送っています。
胃がんの治療は、身体的な負担だけでなく、精神的な負担も大きいものです。医療機関や支援団体、家族や友人など、あなたの周りには、あなたを支えてくれる人がたくさんいます。一人で悩まず、周りの人に相談し、一緒に治療に取り組みましょう。
8. 胃がんの最新治療情報
近年、胃がんの治療は目覚ましい進歩を遂げています。以下に、最新の治療情報をご紹介します。
- 腹腔鏡下手術: お腹に小さな穴を開けて手術を行う方法です。開腹手術に比べて、傷が小さく、術後の回復が早いというメリットがあります。
- ロボット支援手術: ロボットアームを使って手術を行う方法です。精密な手術が可能で、合併症のリスクを低減することができます。
- 術前化学療法: 手術前に抗がん剤治療を行うことで、がんを小さくし、手術の成功率を高めることができます。
- 術後補助化学療法: 手術後に抗がん剤治療を行うことで、再発リスクを低減することができます。
- 新しい抗がん剤: 従来の抗がん剤よりも副作用が少なく、効果が高い新しい抗がん剤が開発されています。
- 免疫チェックポイント阻害薬: がん細胞が免疫細胞の攻撃を回避するのを防ぐ薬です。オプジーボやキイトルーダなどが胃がんの治療に用いられています。
これらの最新治療は、すべてのがん患者さんに適用できるわけではありません。主治医とよく相談し、自分に合った治療法を選びましょう。
まとめ
胃がんは、早期発見・早期治療によって治癒率の高いがんです。定期的な検診を受け、胃がんのサインを見逃さないようにしましょう。また、日々の生活習慣を見直し、胃がんのリスクを減らす努力も大切です。この記事が、あなたとあなたの大切な人の健康を守るための一助となれば幸いです。