前回は、日本の社会保障についてまとめました。
今回は私がいちばん苦手な分野に挑戦です。
避け続けてきましたけど、現実に向き合います。
社会調査・・・
社会調査といっても、量的調査と質的調査の2つがあります。
量的調査の種類
量的調査の対象となる集団を母集団と言います。
全数調査と標本調査
母集団への量的調査は2種類あり
- 全数調査 母集団全てを対象
- 標本調査 サンプリング(母集団の一部対象)
横断調査と縦断調査
全体調査にしろ標本調査にしろ切り口があります。
それを
- 横断調査一時点や断面で切る(年齢や職業など属性で切る)
- 縦断調査 線や時間で切る(同じ調査対象を追跡して切る)
と言います。
縦断調査でもいくつか分けられていて
- パネル調査 同じ調査対象に長時間同じ質問を行う(因果関係の分析)
- コーホート調査 あるコーホートと別のコーホートを比較分析する(下記参照)
- 傾向分析同一定義の集団に同一の質問を行う(国勢調査など)
自計式調査と他計式調査
これは調査対象が自ら記入するか、調査員の聞き取りなのか、です。
自計式調査は主に3種類あります。
- 配票調査とは調査員による配布、自ら記入、調査員が回収する(留置調査とも言う)
- 集合調査とは対象者を集め、調査者の指示のもと自ら記入する
- 郵送調査とは配布・回収を郵送で行う(回収率が他よりも低い)
他計式調査は主に2種類あります。
- 個別面接調査とは調査員が訪問し口頭質問する(詳しく調査が可能)
- 電話調査ではRDD法(乱数番号表)が採用される
まとめ
量的調査といっても大きく2分野(全体か標本か)あり、それぞれ横断と縦断、自(他)計式があります。
量的調査の過程
調査の過程(流れ)は以下のようになります。
- 目的・課題設定
- 対象の決定
- 調査票作成
- プリテスト(予備テスト)実施
- 実施準備(調査員の配置など含む)
- 実査
- 整理・分析
- 報告
これは全数調査、標本調査とも共通ですが、標本検査には抽出方法が2種類あります。
有為抽出法と無作為抽出法です。
有為抽出法
メリット→手間がかからず協力を得やすい。
- 縁故法とは偶然出会った人を対象にする(街頭調査など)
- 応募法とは調査への参加を募って行う
- 割当法とは母集団の特性や属性に注目し、割合に応じて標本を選ぶ
無作為抽出法
ランダム・サンプリングとも呼ばれます。
偏りの少ない標本を抽出することが可能です。
- 単純抽出法とは母集団の中から乱数やサイコロなどで抽出する
- 系統抽出法とは一人目は無作為に抽出し、その後は等間隔に抽出する(等間隔抽出法とも言う)
- 多段抽出法とは母集団を複数に区分けし(第一段)、その区域から抽出する(第二段)
- 層化抽出法とは特性に基づいて層に分け、各層の構成比率に比例するように抽出する
調査票作成時の留意点
調査票の作成では、ワーディングと言う質問文にする際に気をつけるべきことがあります。
- 1つの質問で複数のことを同時に聞くダブルバーレルを避ける。
- 前の質問の答えが、後の質問に影響するキャリーオーバー効果を避ける。
- パーソナルな質問(個人的な意見を尋ねる)と、
- インパーソナルな質問(社会的な意見を尋ねる)を区別する。
- 威光暗示効果(権威のある人の意見を鵜呑みにする)を避ける。
- イエス・テンデンシー(無意識に肯定的な回答を行う傾向にある)に注意する。
調査票の作成方法
上記のワーディングに注意しながら作成します。
その中で尺度・信頼性・妥当性というキーワードがあります。
尺度
4つの尺度があります。
- 名義尺度 対象識別のための名目状のもの
- 順序尺度 識別のため数字が順序を示すもの(量的な差は示されない)
- 間隔尺度 数値の差に意味を持つもの(量的意味を持つ)
- 比例尺度 絶対原点(ゼロ)を持つもの(身長や体重など)
信頼性
ある尺度で測定した結果に一貫性がみられるか示すもの
妥当性
測定したいことが適切に測定できているか示すもの
量的調査の実践
調査の実践にあたって、検定と解析を行う必要があります。
検定
観測された結果に基づき、観測されていない母集団の推測・仮説を検証することです。
- カイ二乗検定クロス集計に用いられる。独立性の検定。
- ピアソンの積率相関係数数値データに使用し、正規分布で使用。
- スピアマンの(順位)相関係数カテゴリカルデータに使用する。
- t検定 2つのグループの平均の差を検定する。
- 分散分析2つ以上のグループの平均の差を検定する。
- F検定 2つのグループのばらつきの大きさを検定する。
などがあります。
解析
解析といっても様々ですが、中でも3つ以上の変数の相関分析に用いる手法を多変量解析と言います。
とりわけオッズ比⇄ロジスティック回帰分析は覚えておきましょう。
集計と分析
単純集計とクロス集計の2種類があります。
単純集計
中心的な1つの値を代表値と言い、中でも平均値が多用される。
また代表値からの散らばりを計測したものを分散という。
クロス集計
カイ二乗検定において用いられ、2つ以上の変数の相関を分析すること。
こういったもので示されます。
終わり
今回は「量的調査」についてまとめました。
質的調査については次回、整理します。