高齢者分野も3回目となります。
これまで「実態と制度」「関連する法律」で大枠をまとめました。
今回は高齢者分野の中で最重要領域となる介護保険制度です。
- 実態と制度
- 高齢者福祉関連法
- 介護保険制度←今回はココ
- 介護技術
- 認知症・終末期医療・住環境
介護保険制度は種類が多く複雑で、とても1回ではまとめ切ることができません。
そこで今回は
介護保険制度における保険給付の概要
を整理して、介護保険制度の大枠をつかみましょう。
次回から保険給付の具体的な中身(サービス)をまとめていきます。
介護保険制度の目的
介護保険法の目的は
要介護者等が自立した日常生活を送るため、国民の共同連帯の理念に基づく
としています。
介護保険制度の基本構造
保険者 | 市町村が中心(ここに国や都道府県が重層的に支えている) |
被保険者 | 65歳以上は第一号被保険者、40〜65未満は第二号被保険者となる |
保険給付の対象者 | 要介護状態または要支援状態にある被保険者が対象となる |
保険給付に関して補足
- コンピュータによる一次判定は要介護または要支援状態であれば原因を問わず給付
- 第二号被保険者は要介護または要支援状態の原因が特定疾病の場合のみ給付
という違いがあります。
特定疾病は
ガン、リウマチ、ALS、骨粗鬆症、認知症、パーキンソン、糖尿・・・
など全部で16種類あります。
保健給付の手続き
簡易チャートで表すと以下の流れになります。
- 市町村への申請
- 認定調査の実施
- 審査判定
- 認定結果の通知
- 保険給付(サービス開始)
それぞれポイントをまとめていきます。
市町村への申請
被保険者または家族、介護保険施設が市町村窓口へ申請を行います。
申請から30日以内に認定が行われます。
認定調査の実施
認定後、保険者(市町村)は
- 認定調査員の訪問調査
- 主治医の意見書
を保険者(申請者)に求めます。
審査判定
保険者は訪問調査と意見書をもとに
- コンピュータによる一次判定
- 介護認定審査会による二次判定
を行います。
認定結果の通知
保険者は審査判定結果に基づいて認定を行い、通知します。
認定に不服がある場合、被保険者は
都道府県の介護保険審査会に審査請求
することができます。
保険給付(サービス開始)
保険給付には2種類あり
- 介護給付
- 予防給付
サービスの種類によって分けられます。
注!ここに地域支援事業が加わって、三本柱になります(コチラの記事の地域支援事業の項目参照)
介護報酬算定
介護サービス費用の基準となる介護報酬は単位で決められています。
1単位=10円を基本に地域やサービス内容に応じて増減します。
介護報酬は市町村介護保険事業計画との関係から3年ごとに見直されます。
最近の介護報酬はプラス改正(介護報酬増加)が続いている現状です。
保険料の賦課・徴収と利用者負担
介護保険の保険料は第一号被保険者と第二号被保険者とで変わってきます。
第一号被保険者の保険料
- 特別徴収・・・年額18万円以上の各種年金受給者は年金から天引き
- 普通徴収・・・それ以外の者は市町村が個別に徴収
この2種類があります。
第一号被保険者の約8割が特別徴収(年金天引き)になっています。
各種年金とは、老齢・退職年金や障害年金、遺族年金のことです。
第二号被保険者
保険料は医療保険料に上乗せして徴収されます。
利用者負担
介護保険では、介護サービス費用の1割負担が原則です(高所得者は2〜3割)
このように所得の大小に関わらず定率での負担のことを応益負担と言います。
利用者負担の上限を超える額については高額介護サービス費が支給されます。
ただし食費や滞在費、日常生活費は利用者負担となります。
終わり
保険給付(介護サービス)の他に介護支援サービスもあります。
介護支援サービスとは
要介護者に依頼されたケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプランを作成しマネジメントする
サービスのことを言います。
また
要支援者の場合は地域包括支援センターの保健師がケアプランを作成する
という違いがあります。