高齢者分野の中で最も範囲の広い領域が「介護保険制度に関わるサービス」です。
そのぶん、試験においてはどこから出題されてもおかしくない内容ばかりとなっています。
- 実態と制度
- 高齢者福祉関連法
- 介護保険制度←今回はココ
- 介護技術
- 認知症・終末期医療・住環境
前回の保険給付の概要で大枠が整理できました。
今回から数回に分けて介護保険制度に関わる具体的な保険給付の内容をまとめていきます。
今回は介護保険サービスの中でも
- サービスの概要
- 居宅サービス
- 地域密着型サービス
これら3つの内容をまとめていきます。
介護保険サービスは他にも
- 施設サービス
- 居宅介護支援
- 住宅改修
- 地域支援事業
があり、次回まとめていきます。
最後は、介護保険制度に関わる
- 組織及び団体(都道府県や市町村)
- 専門職
- 地域包括支援センター
をまとめて「介護保険制度に関わるサービス」全領域フルコンプとなります(リンク先に全体像載せています)
サービスの概要
介護保険には保険給付と地域支援事業の2つに大別されます。
保険給付とは
- 介護給付
- 予防給付
- 市町村特別給付
の3種類があります。
地域支援事業とは
被保険者が
- 要介護状態になることの予防
- 要介護状態になった人の軽減・悪化の防止
- 地域における自立した日常生活の支援
を目的とした事業です。
居宅サービス
介護給付の一つで、要介護1〜5の方が対象です。
重度化の防止を目的として給付されます。
ざっくりいうと、
以下の居宅サービスを受けた場合、居宅介護サービス費の9割が現物支給される
という給付になります。
居宅サービスとは
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 通所介護
- 通所リハビリテーション
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
- 特定施設入居者生活介護
- 福祉用具貸与
- 特定福祉用具販売
この12種類が「居宅サービス」と言います。
訪問介護
介護福祉士や訪問介護員が訪問し、日常生活上の世話を行います。
共生型サービス可能(共生型サービスとは介護保険+障害者福祉両方のサービスが併用してあること)
訪問入浴介護
入浴の介助を行います。
訪問看護
病状が安定期にあり、訪問看護を要すると主治医が認めた場合に該当します。
看護師等が居宅を訪問し療養上の世話や診療の補助を行います。
訪問リハビリテーション
病状が安定期にあり、訪問看護を要すると主治医が認めた場合に該当します。
理学療法士や作業療法士が居宅を訪問し、理学療法や作業療法を行います。
居宅療養管理指導
医師、薬剤師、歯科医等が居宅を訪問し、療養上の管理及び指導を行います。
通所介護
要介護者を老人デイサービスセンター等に通わせ、日常生活上の世話及び機能訓練を行います。
共生型サービス可能。
ただし認知症対応型通所介護に該当するものは除かれます。
通所リハビリテーション
病状が安定期にあり、訪問看護を要すると主治医が認めた場合に該当します。
要介護者を老人介護保険施設、介護医療院、病院、診療所等に通わせ、理学療法や作業療法、そのほか必要なリハビリテーションを行います。
短期入所生活介護
要介護者を特別養護老人ホーム、老人短期入所施設等に入所させ、日常生活上の世話及び機能訓練を行います。
共生型サービス可能。
短期入所療養介護
病状が安定期にある要介護者を介護老人保健施設等に入所させ、看護や医学的管理下における介護及び機能訓練、その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行います。
特定施設入居者生活介護
特定施設に入居している要介護者に、その施設でのサービス計画に基づいた日常生活上の世話及び機能訓練を行います。
特定施設とは有料老人ホーム、ケアハウス、養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、を指します。
福祉用具貸与
在宅の要介護者に対して、福祉用具を貸与します。
特定福祉用具販売
居宅の要介護者に対して、入浴・排泄関連などの用具を販売します。
購入費の7〜9割は居宅介護福祉用具購入費として支給されます。
限度額は同一年度内で10万円分です。
12種類もあって大変です。
まずは12種類を確実に覚えて、内容は大まかに把握しておくだけでも選択肢が絞れるようになります。
地域密着型サービス
介護給付の一つで、要介護1〜5の方が対象です。
重度化の防止を目的として給付されます。
地域密着型サービスとは
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 夜間対応型訪問介護看護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅看護
- 認知症対応型共同生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 複合型サービス
- 地域密着型通所介護
この9種類が「地域密着型サービス」と言います。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期的な巡回訪問または随時通報により行われます。
要介護者の日常生活の世話、看護師による療養上の世話または診療の補助を行います。
夜間対応型訪問介護看護
介護福祉士等が、夜間の定期的な巡回訪問または随時通報により、必要な介護及び世話を行います。
認知症対応型通所介護
認知症の状態にある要介護者に老人デイサービスセンター等において介護や世話及び機能訓練を行います。
小規模多機能型居宅看護
要介護者の状況や環境に応じて、居宅もしくは一定のサービス拠点に通所または短期間宿泊し、介護や世話及び機能訓練を行います。
認知症対応型共同生活介護
認知症の状態にある要介護者に、その住居(グループホーム)において介護や世話及び機能訓練を行います。
グループホームは入居定員5人以上9人以下とされています。
原則として居室は一人部屋とされています。
地域密着型特定施設入居者生活介護
入居定員が29人以下の有料老人ホーム等の介護専用型特定施設に入居している要介護者が対象です。
介護や世話、機能訓練、療養上の世話を行います。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
入居定員が29人以下の特別養護老人ホーム等の地域密着型介護老人福祉施設に入居している要介護者が対象です。
原則として「要介護3以上」となります。
地域密着型施設サービス計画に基づいた介護や世話、機能訓練、療養上の世話を行います。
複合型サービス
居宅サービスと地域密着型サービスのうち2種類以上組み合わされて提供されるサービスのこと。
現在は訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせた看護小規模多機能型居宅介護が認められています。
地域密着型通所介護
入居定員が18人以下の小規模な通所介護が対象です。
共生型サービス可能。
まとめ
ここまで介護保険制度における2つの介護給付を見てきました。
保険給付における3事業(介護給付、予防給付、市町村特別給付)の違い
下の表は介護給付と予防給付の違いを一覧表にしています。
市町村特別給付は関連づけが難しいので、今回は割愛しています。
保険給付 | |
介護給付 | 予防給付 |
要介護1〜5対象、重度化の防止 | 要支援1、2対象、介護予防と重度化の防止 |
居宅サービス | 介護予防サービス |
訪問介護 | |
訪問入浴介護 | 介護予防訪問入浴介護 |
訪問看護 | 介護予防訪問看護 |
訪問リハビリテーション | 介護予防訪問リハビリテーション |
居宅療養管理指導 | 介護予防居宅療養管理指導 |
通所介護 | |
通所リハビリテーション | 介護予防通所リハビリテーション |
短期入所生活介護 | 介護予防短期入所生活介護 |
短期入所量要介護 | 介護予防短期入所量要介護 |
特定施設入居者生活介護 | 介護予防特定施設入居者生活介護 |
福祉用具貸与 | 介護予防福祉用具貸与 |
特定福祉用具販売 | 特定介護予防福祉用具販売 |
保険給付 | |
介護給付 | 予防給付 |
地域密着型サービス | 地域密着型介護予防サービス |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | |
夜間対応型訪問介護 | |
認知症対応型通所介護 | 介護予防認知症対応型通所介護 |
小規模多機能型居宅介護 | 介護予防小規模多機能型居宅介護 |
認知症対応型共同生活介護 | 介護予防認知症対応型共同生活介護 |
地域密着型特定施設入居者生活介護 | |
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 | |
看護小規模多機能型居宅介護 | |
地域密着型通所介護 |
終わり
今回はここまでです。
見てきた通り、介護保険制度における保険給付(各種サービス)は種類が豊富で難しい言葉が並びます。
だからなのか他の領域より点数配分が高いので、完全スルーというわけにもいきません。
まずは用語と分類を正確に覚えて、内容は余裕が出てきてから覚える方がいい気がします。
次回は保険給付の続き(施設サービス、住宅改修、地域支援事業)をまとめる予定です。