今回で「相談援助」分野の概要がまとまります。
相談援助の具体的方法や技術に関しては、次の領域で抑えていく予定です。
- 社会福祉士と精神保健福祉士の意義と相談援助の概念
- 相談援助と権利擁護
- 相談援助に関わる専門職
- 専門職倫理と倫理的ジレンマ
- 総合的かつ包括的な援助←今回ここ
単語と意味を関連付けて覚えていくことが多いところですが、頑張ってインプットしていきましょう。
総合的かつ包括的な援助の意義
そもそも包括的とは
援助を必要とする人の生活全体を捉える(ホリスティック)
という意味があります。
一方で、ソーシャルワークの形成過程において専門分化が進み、各々の分野で専門性が高まるにつれてホリスティックの希薄化が浮き彫りになってきた経緯があります。
そこで1929年の「ミルフォード会議」における報告書では
- ジェネリック(統合的)
- スペシフィック(専門的)
の概念が示されました。
そして各分野のソーシャルワークに共通する理念や技術など、
ソーシャルワーク全体の核となるものをジェネリック・ソーシャルワーク
と呼ぶようになりました。
1970年代以降になると「エコシステム理論」が取り入れられ始めます。
これによってグループワークやケースワーク、コミュニティワークの統合化が進み
ジェネラリスト・ソーシャルワーク
という形態が誕生することになります。
ジェネラリスト・ソーシャルワークとは
- ホリスティックな視点を維持しつつ
- それぞれの専門分野のスペシャリストを目指し
- 多様化・複雑化した福祉ニーズにアプローチしていく
ことを言います。
クライエントだけでなく環境(家族や地域)との相互作用を考慮しつつ、
ミクロ(個人・個別の状況に応じたアプローチ)
メゾ(集団・組織を対象にしたアプローチ)
マクロ(法制度や政策など環境整備へのアプローチ)
の視点を包括してアプローチを行う必要があります。
ジェネラリストの視点に基づく他職種連携の意義
ジェネラリスト・ソーシャルワークの視点を持って活動をすると、活動範囲が広がっていくことになります。
そこで必要となってくるのが
より専門性の高い職(施設)への協力要請や連携要請
です。
また多様化・複雑化する福祉ニーズに対応するため、専門職(施設)連携だけでなく
- 制度や関係機関、団体といったフォーマルな資源
- 家族や近隣住民、ボランティアなどのインフォーマルな資源
を結びつけるソーシャルサポートネットワークでの支援も必要となります。
終わり
今回はここまでです。
相談援助分野の概要や考えなどを整理しました。
今回の内容を確認しつつ、次の「相談援助の理論と方法」につなげていきましょう!