女性の健康を守るために知っておきたい乳がんのすべて:早期発見・治療から予防まで
乳がんは、日本人女性にとって最も身近ながんです。しかし、早期発見・早期治療によって治癒率は高く、予防も可能です。この記事では、乳がんの基礎知識から最新の治療法、そして日々の生活でできる予防策まで、詳細な情報を交えてわかりやすく解説します。あなた自身と大切な人の健康を守るために、ぜひ最後まで読んでみてください。
1. 乳がんってどんな病気?
乳がんは、乳房の乳腺にできる悪性腫瘍です。乳腺とは、母乳を作る組織で、乳管と小葉という部分からできています。乳がんは、これらの乳腺細胞が何らかの原因でがん化し、無秩序に増殖することで発生します。
初期の乳がんは自覚症状がないことが多く、進行するとしこりや乳房の変形、痛みなどを引き起こすことがあります。乳がんは進行度によってステージ0からステージIVに分けられ、早期であればあるほど治療の選択肢が広がり、治癒率も高くなります。
2. 乳がんの原因とリスク要因
乳がんの原因は、まだ完全には解明されていませんが、いくつかのリスク要因が知られています。
- 加齢: 年齢を重ねるほどリスクが高まります。特に40歳以上は注意が必要です。閉経後の女性ホルモンの変化もリスクに影響すると考えられています。
- 遺伝: BRCA1、BRCA2などの遺伝子に変異があると、乳がんのリスクが大幅に高まります。これらの遺伝子変異は、5-10%の乳がんの原因とされています。家族に乳がんや卵巣がんになった人がいる場合は、遺伝カウンセリングを受けることを検討しましょう。
- 女性ホルモン: エストロゲンに長期間さらされることで、乳がんのリスクが高まる可能性があります。初潮が早い、閉経が遅い、出産経験がない、授乳期間が短いなどの場合は、注意が必要です。
- 生活習慣: 飲酒、肥満、運動不足などは、乳がんのリスクを高める可能性があります。特に閉経後の肥満は、女性ホルモンのバランスを崩し、乳がんのリスクを高めると考えられています。
- その他: 放射線被曝、良性の乳腺疾患、高脂肪食などもリスク要因として挙げられます。
3. 乳がんの初期症状を見逃さない!
乳がんの初期症状は、以下の通りです。
- しこり: 乳房にしこりを感じることが最も多い症状です。硬く、表面がでこぼこしている場合は要注意です。入浴中や着替えの際に、自分で乳房を触って確認する「自己触診」を習慣にしましょう。
- 乳房の変化: 乳房の形や大きさの変化、皮膚のくぼみやひきつれ、乳頭の変化(陥没、ただれ、湿疹など)などがみられることがあります。鏡の前で乳房を観察し、左右の違いがないか確認しましょう。
- 分泌物: 乳頭から血性や茶褐色の分泌物が出ることがあります。分泌物の色や量に変化がないか注意しましょう。
- 痛み: 乳房やわきの下に痛みを感じることがあります。ただし、乳がんの初期では痛みがないことも多いので、注意が必要です。
これらの症状に気づいたら、すぐに医療機関を受診しましょう。早期発見が、乳がんの治療成功の鍵となります。
4. 乳がんのセルフチェックの方法
乳がんの早期発見には、定期的なセルフチェックが重要です。以下の手順で、月に1回、セルフチェックを行いましょう。
- 視診: 鏡の前に立ち、両腕を下ろした状態、両手を頭の後ろで組んだ状態、両手を腰に当てた状態で、乳房の形や大きさ、皮膚の色や状態に変化がないか確認します。
- 触診: 入浴中や就寝前など、リラックスした状態で、指の腹を使って乳房全体を丁寧に触診します。しこりや硬い部分がないか、乳頭から分泌物が出ていないか確認します。
- リンパ節のチェック: わきの下や鎖骨の上を触り、リンパ節が腫れていないか確認します。
セルフチェックで異常を感じた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
5. 乳がんの診断方法
乳がんの診断には、以下の検査が行われます。
- マンモグラフィ: 乳房のX線検査です。早期の乳がんを発見するのに有効で、微細な石灰化(乳がんの初期徴候)を検出することができます。40歳以上の女性は、2年に1回のマンモグラフィ検診が推奨されています。
- 超音波検査: 乳房の内部を画像で確認します。マンモグラフィでは見えにくい乳腺の状態を詳しく調べることができます。若い女性や乳腺密度が高い女性には、超音波検査が有効です。
- MRI検査: 磁気共鳴画像法を用いた検査です。マンモグラフィや超音波検査では発見できない小さな乳がんや、乳がんの広がりを詳しく調べることができます。遺伝性乳がんのリスクが高い女性や、乳がんの再発リスクが高い女性には、MRI検査が推奨される場合があります。
- 針生検: しこりから組織を採取して顕微鏡で調べます。がんの確定診断に必要な検査で、がんの種類や悪性度を特定することができます。
6. 乳がんの治療法:最新情報と選択肢
乳がんの治療法は、がんの進行度(ステージ)や種類、患者さんの年齢や健康状態などによって異なります。
- 手術: 乳房温存手術(乳房の一部を切除)や乳房切除術(乳房全体を切除)などがあります。乳房再建術(乳房を再建する手術)も選択できます。
- 放射線治療: 手術後にがん細胞が残っている可能性がある場合や、がんが進行している場合に行われます。放射線を用いてがん細胞を破壊します。
- 薬物療法: 抗がん剤、ホルモン療法、分子標的薬などがあります。がんの種類や進行度に合わせて、適切な薬剤が選択されます。
- その他: 免疫療法や温熱療法など、新しい治療法も開発されています。
近年では、手術の技術や薬物療法が進歩し、より患者さんの負担が少ない治療法が選択できるようになっています。主治医とよく相談し、自分に合った治療法を選びましょう。
7. 乳がんを予防するためにできること
乳がんのリスクを減らすために、以下のことに取り組みましょう。
- バランスの取れた食事: 野菜や果物を多く摂り、脂肪分やアルコールを控えることが大切です。特に、大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのバランスを整え、乳がんのリスクを下げる効果があるとされています。
- 適度な運動: 週に150分以上の有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)が推奨されています。運動は、肥満を防ぎ、女性ホルモンのバランスを整える効果があります。
- 定期的な検診: 40歳以上の方は、2年に1回のマンモグラフィ検診を受けましょう。マンモグラフィ検診は、早期の乳がんを発見するのに最も有効な方法です。
- 禁煙: 喫煙は乳がんのリスクを高めます。禁煙することで、乳がんだけでなく、他の病気のリスクも減らすことができます。
- 飲酒: 過度な飲酒は乳がんのリスクを高めます。節度ある飲酒を心がけましょう。
8. 乳がんと向き合うあなたへ
乳がんと診断されたとしても、決して諦めないでください。早期発見・早期治療によって、多くの方が乳がんを克服し、充実した生活を送っています。
乳がんの治療は、身体的な負担だけでなく、精神的な負担も大きいものです。医療機関や支援団体、家族や友人など、あなたの周りには、あなたを支えてくれる人がたくさんいます。一人で悩まず、周りの人に相談し、一緒に治療に取り組みましょう。
まとめ
乳がんは、早期発見・早期治療によって治癒率の高いがんです。定期的な検診を受け、乳がんのサインを見逃さないようにしましょう。また、日々の生活習慣を見直し、乳がんのリスクを減らす努力も大切です。この記事が、あなたとあなたの大切な人の健康を守るための一助となれば幸いです。