学校の先生は残業代は出ません!!!
公立学校の先生は、給特法という法律によって、基本的に残業代が出ません。これは、教員の労働時間が管理しにくいという理由で定められた制度ですが、近年、この制度が以下の問題点から見直しの議論が活発になっています。
1. 長時間労働の常態化
- 給特法で残業代が支払われないため、教員のうち8割以上が月40時間以上の残業をしているという調査結果があります。
- 授業の準備や教材作成、校務作業、部活動指導など、持ち帰り仕事も多く、過酷な労働環境が常態化しています。
- 長時間労働による心身疲労は、教員の健康問題や離職にもつながっています。
2. 教育の質の低下
- 教員の負担が大きいため、十分な授業準備や教材作成、生徒指導を行う時間が確保できず、教育の質の低下が懸念されています。
- 特に、近年重視されている個別指導やICT教育などに対応する時間が不足しています。
- 教員の疲弊は、子どもたちへの教育にも悪影響を及ぼす可能性があります。
3. 教員の不足
- 長時間労働や低待遇が原因で、教員の離職者が増え、教員不足が深刻化しています。
- 特に、若い世代の教員が不足しており、教職の将来が危ぶまれています。
- 教員不足は、教育現場の崩壊にもつながりかねない問題です。
4. 国際的な競争力の低下
- 日本の教育制度は、OECD諸国の中でも長時間労働が常態化している状況です。
- 教員の負担が大きい状況では、国際的に競争力のある教育を提供することは難しいと考えられます。
- 教育の質の向上のためには、教員の労働環境を改善することが不可欠です。
給特法の見直しに向けた動き
近年、教員の長時間労働問題や給特法の見直しに向けた動きが活発になっています。
- 2016年には、政府が「働き方改革」の一環として、教員の労働時間の上限規制を設けることを検討すると発表しました。
- 2017年には、中央教育審議会が「教員の働き方改革」に関する提言をまとめ、給特法の見直しや教員の処遇改善などを求めています。
- 2022年には、岸田文雄首相が「教員の働き方改革を加速させる」と表明し、給特法の見直しに意欲を示しています。
今後の課題
給特法の見直しは、教育現場の改革にとっても重要な課題です。しかし、教員の労働時間管理の難しさや、財源確保の問題など、様々な課題も存在します。
今後は、教員の負担軽減と教育の質向上を両立できるような、具体的な制度改革案を検討していく必要があります。
参考情報
- 教員の残業代問題、抜本改革へ:給特法改正案のポイント、残業代問題、今後の方向性まで - メガホン
- 【解説記事】給特法をわかりやすく解説。改正のポイント、残業代問題、今後の方向性まで
- 教員が月120時間残業しても手当は1万円 教員不足を招く、時代錯誤の「給特法」の実態
- 公立学校の教員(教師)に残業代は出ない? 支払われない理由と対処法