社会福祉士国家試験対策:雇用保険制度の解説【根拠条文付き】
雇用保険制度は、労働者が失業した場合の生活保障や再就職支援、雇用の安定・促進などを目的とした社会保険制度です。社会福祉士として、この制度を理解することは、相談援助において非常に重要です。以下に、根拠法である雇用保険法の条文を引用しつつ、詳しく解説します。
1. 雇用保険制度の目的(雇用保険法第1条)
雇用保険制度は、労働者が失業した場合の生活の安定と就職の促進、雇用の安定を図るとともに、労働者の能力開発及び向上を支援し、もって経済及び社会の発展に寄与することを目的としています。
2. 雇用保険の適用範囲(雇用保険法第5条~第9条)
雇用保険は、原則として1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者を対象としています。ただし、以下の労働者は適用除外となります。
- 日雇労働者
- 短時間労働者(31日以上雇用される見込みがない者)
- 65歳以上で雇用された者
- 学生
- 船員
3. 雇用保険の給付(雇用保険法第10条~第43条)
雇用保険の給付には、大きく分けて以下の3種類があります。
(1) 失業等給付
- 基本手当: 失業した労働者の生活を保障するための給付です。
- 技能習得手当: 職業訓練を受講する労働者に対する給付です。
- 寄宿手当: 職業訓練のため、自宅を離れて生活する労働者に対する給付です。
- 傷病手当: 失業中に病気やケガをした場合の給付です。
- 求職者支援制度: 再就職支援サービスを受ける求職者に対する給付です。
(2) 育児休業給付
育児休業を取得した労働者に対する給付です。
(3) 雇用継続給付
- 高年齢雇用継続基本給付金: 高年齢者が雇用を継続した場合の給付です。
- 育児休業給付金: 育児休業を取得した労働者に対する給付です。
- 介護休業給付金: 介護休業を取得した労働者に対する給付です。
4. 雇用保険二事業(雇用保険法第44条~第69条)
雇用保険二事業とは、雇用保険の保険料の一部を使って行われる事業で、以下の2つがあります。
(1) 雇用安定事業
- 雇用調整助成金: 経済上の理由で一時的に休業、教育訓練、出向などを実施する場合の助成金です。
- 特定求職者雇用開発助成金: 高年齢者、障害者などを雇い入れた場合の助成金です。
(2) 能力開発事業
- 教育訓練給付金: 労働者が自ら費用を負担して職業訓練を受講した場合の給付金です。
- キャリア形成促進助成金: 企業が従業員のキャリア形成を支援するための助成金です。
5. 雇用保険の保険料(雇用保険法第70条~第77条)
雇用保険の保険料は、労働者と事業主が折半して負担します。保険料率は、業種や雇用形態によって異なります。
まとめ
雇用保険制度は、労働者の生活安定と再就職支援、雇用の安定・促進を図るための重要な社会保険制度です。社会福祉士として、この制度を理解し、相談援助に活かしていくことが求められます。