脳卒中:命を守るために知っておきたい知識と早期対応のススメ
脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳への血液供給が絶たれ、脳細胞がダメージを受ける病気です。日本人の死亡原因の上位を占める恐ろしい病気ですが、早期発見・早期治療によって後遺症を最小限に抑えたり、命を守ったりすることが可能です。
この記事では、脳卒中の種類、初期症状から検査方法、救急車を呼ぶべき状況、そして日々の予防策まで、詳しく解説します。
脳卒中ってどんな病気?
脳卒中は、大きく分けて以下の3種類があります。
- 脳梗塞:脳の血管が血栓などで詰まることで起こる
- 脳出血:脳の血管が破れて出血することで起こる
- くも膜下出血:脳の表面を覆う「くも膜」の下で出血が起こる
どのタイプの脳卒中も、脳への血流が途絶え、脳細胞が酸素や栄養不足に陥り、深刻なダメージを受けるため、迅速な対応が求められます。
⚠️ 脳卒中の初期症状を見逃さない!
脳卒中の初期症状は突然現れることが多く、以下の症状が見られます。
- 共通の症状
- 顔面麻痺:顔の片側が歪む、口角が下がる、目が閉じにくい
- 片麻痺:手足の片側がしびれる、力が入らない、感覚が鈍い
- 言語障害:ろれつが回らない、言葉が出ない、相手の言葉が理解できない
- 激しい頭痛:今までに経験したことのないような突然の激しい頭痛
- めまい・ふらつき・平衡感覚の異常:急にめまいがする、まっすぐ歩けない、物が二重に見える
- 意識障害:意識がもうろうとする、呼びかけに応じない
- 視覚障害:視野が欠ける、物がぼやける、物が二重に見える
- 嚥下障害:食べ物が飲み込みにくい、むせる
- くも膜下出血特有の症状
- バットで殴られたような激しい頭痛:突然の激しい頭痛で、これまで経験したことがないほどの痛み
- 吐き気・嘔吐:頭痛に伴い、吐き気や嘔吐が起こる
- 意識障害:意識がもうろうとする、昏睡状態に陥る
これらの症状が一つでも現れたら、時間との勝負です。迷わず救急車を呼びましょう。
🧠 脳卒中の検査方法
脳卒中の診断には、以下の検査が行われます。
- 頭部CT検査・MRI検査:脳の断層画像を撮影し、出血や梗塞の有無、場所、範囲を詳しく確認
- MRA(MRアンギオグラフィー)検査:MRIを使って脳血管の状態を詳しく調べる
- 脳血管造影検査:カテーテルを用いて造影剤を注入し、脳血管の狭窄や閉塞、動脈瘤などを直接確認
- 血液検査:脳卒中の原因となる病気の有無を調べる
- 心電図検査:不整脈など、心臓に原因がある場合に実施
- 腰椎穿刺:くも膜下出血が疑われる場合に、髄液を採取して出血の有無を確認
🚑 救急車を呼ぶべき? 判断の目安
脳卒中は、症状が現れてからの時間が経過するほど、後遺症が残る可能性が高くなります。少しでも脳卒中を疑う症状があれば、ためらわずに救急車を呼びましょう。
以下に、症状別に救急車を呼ぶべき判断の目安を詳しく説明します。
顔面麻痺
- 顔の半分が歪んでいる、または麻痺している
- 片方の口角が下がっている
- 片方の目が閉じにくい、または閉じられない
- 片方の頬が膨らまない、または片方の頬だけ膨らむ
片麻痺
- 片方の手足に力が入らない、または動かせない
- 片方の手足がしびれる、または感覚が鈍い
- 片足を引きずる、または歩行が困難
- 片方の手で物がつかめない、または握力が弱い
言語障害
- 言葉が出てこない、またはろれつが回らない
- 相手の言葉が理解できない
- 文字が読めない、または書けない
激しい頭痛
- 突然、今までに経験したことのないような激しい頭痛が起こる
- 頭痛とともに吐き気や嘔吐がある
- 頭痛がどんどん悪化していく
めまい・ふらつき・平衡感覚の異常
- 突然、激しいめまいやふらつきが起こる
- 目の前がぐるぐる回る、または物が二重に見える
- 立っていられない、またはまっすぐ歩けない
意識障害
- 意識がもうろうとする、または呼びかけに応じない
- 意識レベルが低下し、眠り込んでしまう
視覚障害
- 片方の目が見えなくなる、または視野が狭くなる
- 物がぼやけて見える、または物が二重に見える
嚥下障害
- 食べ物や飲み物が飲み込みにくい
- 食事中にむせる、または咳き込む
くも膜下出血特有の症状
- バットで殴られたような激しい頭痛
- 激しい頭痛とともに吐き気や嘔吐
- 意識障害
上記以外にも、いつもと違う様子が見られたり、少しでも異変を感じたら、すぐに救急車を呼びましょう。
迷ったら、救急相談窓口「#7119」へ
症状に迷った場合は、救急相談窓口「#7119」に電話して相談しましょう。専門家からのアドバイスを受け、適切な対応をすることができます。
早期発見・早期治療が重要
脳卒中は、時間との勝負です。症状が現れたら、一刻も早く医療機関に搬送されることが重要です。ためらわずに救急車を呼び、適切な治療を受けましょう。
🧠 脳卒中の治療法:症状や原因に合わせて選択
脳卒中の治療法は、種類や症状、発症からの時間によって異なります。
- 脳梗塞
- t-PA静注療法:血栓を溶かす薬剤を点滴で投与 (発症後4.5時間以内)
- 血管内治療:カテーテルを使って血栓を回収・除去 (発症後6~8時間以内)
- 抗血栓薬:血栓の拡大を防ぐ薬を投与
- 脳出血・くも膜下出血
- 降圧剤:血圧を下げて出血を抑える
- 手術:出血量が多い場合や脳圧が高い場合に実施
- 動脈瘤クリッピング術:動脈瘤の根元をクリップで挟み、破裂を防ぐ
- コイル塞栓術:カテーテルを使って動脈瘤の中にコイルを詰め、血流を遮断する
💔 脳卒中の後遺症
脳卒中を発症すると、後遺症が残る可能性があります。後遺症の種類や程度は、脳の損傷部位や範囲、治療のタイミングなどによって異なります。
- 運動麻痺:手足の麻痺、歩行困難
- 感覚障害:しびれ、感覚の鈍化
- 言語障害:失語症、構音障害
- 高次脳機能障害:記憶障害、注意障害、遂行機能障害など
- 嚥下障害:食べ物が飲み込みにくい、むせる
後遺症の改善には、リハビリテーションが重要です。早期にリハビリを開始することで、後遺症の軽減や機能回復が期待できます。
🧠 脳卒中の予防:日々の生活習慣の改善が大切
脳卒中は、生活習慣の改善によって予防できる可能性があります。
- 食事:バランスの取れた食事を心がけ、塩分、脂肪を控えめに。野菜、果物、魚を積極的に摂取する。
- 運動:適度な有酸素運動(ウォーキング、ジョギングなど)を習慣化し、肥満を予防する。
- 禁煙:喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を促進するため、禁煙することが重要。
- 節酒:過度な飲酒は避け、適量を守ること。
- ストレス管理:ストレスを溜め込まないよう、リラックスできる時間を作る。
- 定期的な健康診断:高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、脳卒中のリスクを高めるため、定期的な健康診断を受け、早期発見・早期治療に努める。
- 脳ドック:脳卒中のリスクを評価し、早期発見に繋がる
脳卒中から命を守るために
脳卒中は、早期発見・早期治療が重要です。初期症状を見逃さず、少しでも異変を感じたら、ためらわずに医療機関を受診しましょう。日々の生活習慣の改善も、脳卒中予防に効果的です。
この記事が、あなたやあなたの大切な人の命を守るための知識として役立つことを願っています。