前回に引き続き「心理学」についてまとめていきます。
この記事をご覧の方ならご存知と思いますが、社会福祉士国家試験に基準点や合格ラインはありません。
全体の上位30%ほど(毎年差異あり)が合格するという相対評価です。
過去の得点状況やねぎまの実体験から申し上げて、
一問一答形式の「人名⇄著書(理論)」
重要な法規関係の名前と概要
この辺りは確実に・・・というより
出題していただいてありがとうございます。
ありがたく得点させていただきます。
くらいのレベルにならないと苦しいです(本当に!!)
量の多さに圧倒されがちな社福の試験ですが、心理学は
覚えれば何とかなる!
領域の一つですから諦めずに取り組んでくださいね。
心理学の概要から下記1と2はコチラにまとめていますの参照ください。
- 感情と動機づけ
- 感覚・知覚 ←前回の記事ここまで
- 学習・記憶
- パーソナリティの把握
- 対人認知
- 集団
- 適応
今回は、「3.学習・記憶」から先をまとめていきます!
3 学習・記憶
まず「学習」とは
経験によって獲得される比較的永続的な行動の変容
と定義されます。
学習には「連合説」と「認知説」の2種類に大別されます。
連合説
刺激と反応の結合によって形成されるという考え。
パブロフによる犬の実験が有名です。
犬にエサを与えるとよだれを出す。
この時エサと一緒に刺激(音や光など)を与えることを繰り返す。
すると、エサを与えなくても刺激(音や光)を与えるだけでよだれを出すようになる。
これを古典的条件付けまたはレスポンデント条件付けといいます。
またスキナーはネズミ実験で
行動はその結果によって影響を受ける
としオペラント条件付けを体系化しました。
認知説
手段と目的の関係を知る認知構造によって成立するという考え。
モーガンは経験を繰り返し効率よく行動できる学習を試行錯誤学習とした。
のちにソーンダイクが「猫の問題箱」の実験で検証しました。
ケーラーは犬の「回り道」行動やチンパンジーの「道具の使用」の観察から洞察説を提唱しました。
これは
認知的再体制化(これまでの思考パターンを吟味し、新たな解決法を模索すること)や、目的と手段に関する洞察学習が働いている
ことを意味しています。
バンデューラはモデリングという見習い学習を提唱し、観察・見習うことで行動様式の一般原則を獲得する、としました。
次に「記憶」とは
過去の経験を保存し、必要に応じて思い出す精神活動
と定義されます。
記憶には記憶の時間幅によって「感覚記憶」と「短期記憶」と「長期記憶」の3種類に分類されます。
他に情報を一時的に保ちながら処理することをワーキングメモリ(作業記憶)といいます。
また長期記憶には以下があります。
自叙伝記憶 | 自身の生活史の記憶 |
手続き記憶 | スポーツのように体で覚える技能の記憶 |
エピソード記憶 | 「いつ・どこで」といった経験の記憶 |
展望記憶 | 試験に合格した→大学に入学できる、のような未来に行う行為の記憶 |
意味記憶 | 一般的な知識・経験からの抽象的な概念についての記憶 |
4 パーソナリティの把握
個性ともいいます。
パーソナリティの把握には類型論と特性論とに分類されます。
類型論
クレッチマーは体型による分類を提唱しました。
- 細長型は分裂気質
- 肥満型は躁鬱気質
- 闘士型は粘着気質
ユングはリビドーの方向性によって性格が外向型と内向型に分けられると提唱しました。
シュプランガーは価値を6分野(経済、理論、審美、社会、政治、宗教)に分類化しました。
特性論
キャッテルは12個の特性因子(根源特性)にまとめました。
また外向性、神経症傾向、誠実性、調和性、経験への開放性を要素とするビッグファイブ(5因子説)も特性論に区分されます。
5 対人認知
対人認知とは
自分以外に関心を持ち、円滑な人間関係構築のため、相手への認識を深める
ことを言います。
通常は相手の感情や性格を認知し、外見や言葉遣い、他者からの評価など総合的に認知していきます。
しかし対人認知を歪めてしまうファクターがあります。
ハロー効果(光背効果) | 相手に何か望ましくない特徴があると、全体の評価にまで影響すること |
包装効果 | 個人的経験に基づいて、「この特性があるなら必ずこうだ」という思い込みのこと |
寛大効果 | 相手の好ましい特性を高く評価し、好ましくない特性を割り引いて評価すること |
6 集団
集団が与える組織員への影響として以下のものがあります。
- 同調
- 傍観者効果
- ピグマリオン効果
- 社会的ジレンマ
- 社会的促進
- 社会的手抜き
同調
集団規範を共有するように集団圧力が掛かること。
集団圧力は「集団としてのまとまりの維持」を目標にしていて、斉一性の圧力とも言います。
例)学校の校則、社内規定、公共のマナーなど
傍観者効果
自分以外の他者が多く存在することを認知した場合、援助の手を差し伸ばしにくくなること。
例)満員電車で席を譲ろうと思ったけど、周囲にたくさん人がいてやめた・・・
ピグマリオン効果
他者に期待を持つことで、その人が期待に沿った行動をするようになること。
例)親が子どもに期待し刺激を与え、子どもが認知したら期待に応えようと頑張る。
社会的ジレンマ
集団の組織員が個人の利益を追求しだすと、集団全体の利益がマイナスになること。
社会的促進
同じ仕事を、個人で行うより集団で行う方が効率が上がる現象のこと。
社会的手抜き
課題遂行にあたり、人数が多いほど一人当たりの遂行量や努力が低下すること。
集団とリーダーシップの関係
三隅二不二のリーダーシップ研究によると、
- P行動→課題遂行機能
- M行動→集団維持機能
を提唱し、集団とリーダーシップの関係性をまとめました。
↓下図参照↓
7 適応
いよいよ「心理学」最後の項目です。
適応とは
個人と環境との間で調和のある満足すべき関係が成立・維持できている状態
のことを言います。
適応が崩れるとストレスを感じ、自身を守るため適応機制(防衛機制)が起こります。
適応機制には7種類あります。
- 昇華
- 同一化(同一視)
- 投影(投射)
- 抑圧
- 退行
- 反動形成
- 合理化
- 知性化
昇華
すぐに実現できないことを社会的に価値の高い活動で代償すること。
同一化(同一視)
望ましい性質を自分のことのようにみなし、満足感を得ること。
投影(投射)
自身の望ましくない感情を他者のものとみなし、自分を偽ること。
例)浮気の心配→自分が疑っているのに「相手が自分を疑っている」と偽って捉えること。
抑圧
困難な欲求や苦痛体験を抑え込んでしまうこと。
退行
耐え難い事態に直面した時、未発達段階まで逆行し自分を守ること。
例)赤ちゃん返り
反動形成
本心と反対の行動や態度をとってしまうこと。
例)大嫌いな人にていねいに対応する
→非常に大きなストレスがかかってしまう。
合理化
自身に都合のいい理由をつけて正当化し、情緒の安定をはかること。
知性化
難しい言葉で抽象化し、自身の強い感情と向き合うことを避けようとすること。
例)フラれた時に「成功率は〜%の確率」と難しい文献を見て落ち着こうとする。
終わり
冒頭でも書いた通り、この領域が出題されたら
「ごっつぁんです!!」
ばりの得点源になるよう覚えておきたい内容となっています。
次回は、「生活保護制度」について整理する予定です!