今回から何記事かに分けて「高齢者」分野をまとめていきます。
ご存知の通り、高齢者分野は他の範囲よりも点数配分が高くなっています。
つまり出題される範囲がそれだけ広いということで、
ヤマを張る
ではありませんが、重要度の見極めも大切です。
高齢者分野は(重要度別)で見ると
- 実態と制度(B)←今回はココ
- 高齢者福祉関連法(A)
- 介護保険制度(A)
- 介護技術(B)
- 認知症・終末期医療・住環境(B)
と大きく5領域に分けることができ、とりわけ2と3が最重要領域です。
中でも介護保険制度は種類が多岐に渡り、まとめる前から心が折れそうになっています。
始め〜概要と目次〜
一口に「高齢化」と言っても定義が決められていて
老年人口比率(高齢化率)が
- 7%超え→高齢化社会
- 14%超え→高齢社会
と言います。
日本は1970年に7.1%、1994年に14%を超えています。
また老年人口に対して、年少人口、生産年齢人口は減少を続けており、出生率低下も相まって「少子高齢社会」と言われています。
年少人口 | 0〜14歳 |
生産年齢人口 | 15〜64歳 |
老年人口 | 65歳以上 |
このような日本の現状を踏まえて、今回は
- 高齢者の経済生活
- 高齢者と家族
- 老人福祉法
- 高齢者医療確保法
- 高齢者社会大綱
- 高齢者福祉(各種ゴールドプラン)
この6項目に分けてまとめていきます。
高齢者の経済生活
高齢者世帯の収入は以下のようになっています。
見ての通り「公的年金・恩給」が収入の半分以上を占めています。
総収入が公的年金・恩給のみという世帯も48.4%あります(2018年)
ちなみに全世帯所得平均額は約560万円で、高齢者世帯と1.8倍の差があります。
高齢者世帯の半数以上が「生活が苦しい」と答えており、1995年と比較すると2倍になっています。
高齢者と家族
家族構成
さて65歳以上を「老年人口」と定義したことを述べましたが、さらに
- 65以上75未満→前期高齢者人口
- 75以上→後期高齢者人口
と言います。
「介護保険法」による要支援・要介護認定の高齢者のうち
要介護者がいる世帯(在宅の者に限る)を見ていくと
- 核家族世帯(40%)
- 単独世帯(28%)
- 三世代世帯(13%)
となっています。
その中で、
「介護者⇄要介護者」の関係は
- 同居(54.4%)
- 別居の家族等(13.6%)
- 事業者(12.1%)
となっています。
簡単に言うと半数ちょいは同居人が介護をし、別居の家族と事業者が同じくらい、と言うことです。
高齢者への虐待
2006年高齢者虐待防止法が施行され、都道府県知事に虐待の状況や措置の公表義務ができました。
結果を一覧表でまとめています。
虐待の施設・設備の種別 | 内容 | 続柄 | |
1位 | 特別養護老人ホーム(30%) | 身体的虐待(67%!) | 息子(40%!) |
2位 | 有料老人ホーム(27%) | 心理的虐待(39%) | 夫(21%) |
3位 | グループホーム(15%) | 介護等放棄(20%) | 娘(18%) |
経済的虐待(17%) |
また、虐待の通告では
- 家族・同居人による通告が最も多く、
- 次に介護従事者からの通告
となっています。
近隣住民や知人からの通告は1割にも届いていません。
老人福祉法
高齢者の権利を守るための法律も制定されていきました。
1963年「老人福祉法」が成立・施行。
1972年「老人医療費支給制度」が成立し、老人医療費の無償化が決定されます。
(ただし70歳以上の者または65歳以上の寝たきりの者が対象)
1990年「老人福祉法の一部を改正する法律」によって、老人保健福祉計画の策定が都道府県及び市町村に義務づけられます。
1994年「在宅介護支援センター」が法定化。
2011年「市民後見人の確保」がされ、後見等の制度が整いました。
高齢者の医療に関する法整備
高齢者の権利を守るととに、高齢者の医療体制を守る法律も整えられました。
1963 | 「老人福祉法」による老人健康診査制度が開始。 |
1973 | 老人医療費支給制度の実施。 |
1978 | 老人保健医療総合対策開発事業の創設。 |
1982 | 「老人保健法」が成立(医療費の一部負担が加わる) |
1983 | 昨年の老人保健法により、1973年の医療費無償化が廃止となる。 |
2006 | 「健康保険法等の一部を改正する法律」で少子高齢化と国民皆保険制度維持を目的とする。 |
2008 | 老人保健法が「高齢者医療確保法」に改正され後期高齢者医療制度ができる。 |
高齢社会対策大綱
これまで「老人福祉法」と「高齢者の医療に関する法整備」を見てきました。
1983年に医療費無償化廃止が決まり、高齢社会に向かって加速していく中で
1996年に高齢社会対策大綱
が策定されました。
2018年の大綱では「エイジレス社会を目指す」と言う目標が掲げられました。
高齢者福祉(各種ゴールドプラン)
ゴールドプランに関しては、以前の「福祉6法、福祉8法」のところでも扱っています。
それぞれ、
- ゴールドプラン
- 新ゴールドプラン
- ゴールドプラン21
と言う大きな縦の軸があり、そこに21世紀ビジョンや介護保険法が横に絡んできていることがわかると思います。
そして2014年「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」と言う長い名前の法律によって
介護保険制度については
- 地域包括ケアシステムの構築
- 費用負担の公平化
を目指して制度の見直しを図ることになります。
終わり
今回はここまでです。
重要度としてはBランクの領域ですが、老人福祉法や高齢者の医療に関する法整備は
ある程度の年代と法律(概要)
を理解しておくと、次回以降がラクになります。