今回も得点配分が高い「高齢者」分野をまとめています。
前回は「実態と制度」についての領域をまとめました。
この記事では重要度Aである高齢者福祉関連法について整理していきます。
- 実態と制度(B)
- 高齢者福祉関連法(A)←今回はココ
- 介護保険制度(A)
- 介護技術(B)
- 認知症・終末期医療・住環境(B)
- 老人福祉法
- 高齢者虐待防止法
- バリアフリー新法
- 高齢者住まい法
- 高年齢者雇用安定法
この6つの法律についてまとめます。
老人福祉法
基本理念
前回の「実態と制度」でも登場した高齢者の権利を原点の法律とも言えるものです。
1963年に制定され、基本理念として
老人が生きがいを持てる健全で安らかな生活の保障
が掲げられています。
運営及び公的施策
厚生労働省をトップとし、都道府県、市町村の担当部局に委託されていきます。
この法律に基づく公的施策として
- 在宅福祉施策
- 施設福祉施策
の2つに大別されます。
また介護保険(詳細は次章)の導入により、これらサービスの利用方式が
措置制度から利用制度(契約制度)へと転換
されました。
事業及び施設
老人居宅生活支援事業として居宅介護やデイサービス、短期入所といった事業が老人福祉法によって規定されています。
施設といっても
- 老人福祉施設(7種類)
- 高齢者福祉の関連施設
という違いがあります。
老人福祉施設は
- 老人デイサービスセンター
- 老人短期入所施設
- 養護老人ホーム
- 特別養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム
- 老人福祉センター
- 老人介護支援センター
この7種類です。
老人福祉計画
1990年の老人福祉法の一部改正により規定されました。
これによって
都道府県には都道府県老人福祉計画
市町村には市町村老人福祉計画
の作成が義務となりました。
介護保険事業計画
また介護保険法の成立(詳細は次章)によって
都道府県は都道府県介護保険事業計画
市町村は市町村介護保険事業計画
の作成が義務となりました。
高齢者虐待防止法
高齢者虐待の実態は前回記載しています。
(虐待が行われた施設の種別や内容、続柄をまとめています)
ここでは虐待防止の要となる法律について整理していきます。
定義
2006年「高齢者虐待防止法」が施行されました。
この法律でいう高齢者虐待とは
擁護者または要介護施設従事者等による65歳以上の者に対する虐待行為
となっています。
虐待の種類及び内容
以下のとおりです。
身体的虐待 | 身体に外傷が生じる、または生じる恐れのある暴行 |
ネグレクト | 衰弱させるような著しい減食、放置等の行為 |
心理的虐待 | 著しい暴言、拒絶的対応、心理的外相を与える行為 |
性的虐待 | 猥褻な行為をする、またはさせること |
経済的虐待 | 財産を不当に処分したり、不当に財産上の利益を得る行為 |
虐待に対する支援及び義務
養護者支援として
- 居室の確保
- 通報義務
- 立入検査(警察への援助要請)
- 面会制限
- 適切に対応するための職員の確保
などがあります。
この「通報義務」は家族や親族にとどまらず、知人や地域住民など
虐待を受けた、または虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者全て
に義務があります。
バリアフリー新法
2006年「バリアフリー新法」が施行されました。
これは
ハートビル法と交通バリアフリー法
を一体化した法律で、国や地方公共団体の責務だけでなく国民の責務を定めているのが特徴です。
高齢者住まい法
以下の2つの重要事項を覚えておきましょう。
2001年 | 高齢者住まい法が制定され、民間での高齢者向け有料賃貸住宅の供給促進・整備を目的とする。 |
2011年 | 「サービス付き高齢者向け住宅」の都道府県知事への登録制度が創設された。 |
高年齢者雇用安定法
1971年「中高年齢者等の雇用促進に関する特別措置法」が大元。
2004年、一部改正により「高年齢者雇用安定法」と改称。
2013年、一部改正により事業主に対して
- 定年の段階的引き上げ廃止、または
- 継続雇用制度の導入
のどちらかの措置が義務付けられました。
終わり
今回は老人福祉法や高齢者虐待防止法といった高齢者福祉に関連する重要な法律についてまとめました。
大まかな法律を年代順に並べると
- 1963年、老人福祉法
- 1971年、中高年齢者の雇用促進に関する特別措置法
- 1990年、老人福祉計画(老人福祉法の一部改正)
- 1997年、介護保険法
- 2001年、高齢者住まい法
- 2004年、高年齢者雇用安定法(中高年齢者の雇用促進〜の一部改正)
- 2006年、高齢者虐待防止法
- 同 年、バリアフリー新法
- 2011年、サービス付き高齢者向け住宅
- 2013年、定年の段階的引き上げ廃止、または継続雇用制度の導入
関連する法律は同色で色分けしています。
次回は「介護保険制度」についてまとめる予定です。
高齢者分野の中で最重要領域であり、とても複雑な中身となっています。