高齢者分野のまとめも今回で6回目となりました。
特に今まとめている「介護保険制度」は
- どんな保険給付が
- どんな種類で
- どんな対象に
- どんな内容で
行われているかの種類が膨大です。
保険給付 | ||
地域支援事業(市町村特別給付) | 介護給付 | 予防給付 |
事業対象者などが対象、状態の維持・改善が目的 | 要介護1〜5対象、重度化の防止が目的 | 要支援1、2対象、介護予防と重度化の防止が目的 |
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↑でまとめた体系を意識しながら、覚えていきましょう!
今回は地域支援事業についてまとめていきます。
体系にも載せているように
- 介護予防・日常生活(総合事業)
- 包括的支援事業
- 任意事業
と大きく3つのサービスがあります。
介護予防・日常生活(総合事業)
対象
これは
第一号被保険者と第二号被保険者(要支援者)を対象
としています。
内容
具体的には第一号事業と呼ばれる
- 訪問型サービス
- 通所型サービス
- 生活支援サービス
- 介護予防ケアマネジメント
事業と、一般介護予防事業と呼ばれる
- 介護予防把握事業
- 介護予防普及啓発事業
- 地域介護予防活動支援事業
- 一般介護予防事業評価事業
- 地域リハビリテーション活動支援事業
があります。
第一号事業(介護予防・生活支援サービス事業)
第一号事業 | |
訪問型サービス | 居宅要支援被保険者等の介護予防が目的。居宅で日常生活上の支援を行う。 |
通所型サービス | 居宅要支援被保険者等の介護予防が目的。施設において日常生活上の支援または機能訓練を行う。 |
生活支援サービス | 上記の訪問型、通所型サービスと一体的に行われる場合に効果があると認められる生活支援を行う(下記参照) |
介護予防ケアマネジメント | 総合事業サービス全体を適切に提供できるよう地域包括支援センターが実施する(下記参照) |
生活支援サービスの具体的内容は
栄養改善を目的とした配食や定期的な安否確認、緊急時の対応など
市町村が定めるものとなっています。
介護予防ケアマネジメントは地域支援業務の一つですが
予防給付を併用する要支援者には、本事業ではなく、予防給付の介護予防支援が適用
となることに注意しましょう。
一般介護予防事業
一般介護予防事業 | |
介護予防把握事業 | 地域で収集した情報を活用し、閉じこもり等の支援を要する者を把握し、介護予防に努める。 |
介護予防普及啓発事業 | 介護予防活動の普及・啓発を行う。 |
地域介護予防活動支援事業 | 地域における住民全体の介護予防活動の育成と支援を行う。 |
一般介護予防事業評価事業 | 介護保険事業計画に定める目標達成状況の検証を行い、一般介護予防事業の評価を行う。 |
地域リハビリテーション活動支援事業 | 介護予防の強化のため、通所や訪問、地域ケア会議などでリハビリテーション専門職等が助言などを行う。 |
事業委託
総合事業に関しては
市町村は厚生労働省令で定める基準に適合した者に委託
することができます。
包括的支援事業
対象
これも総合事業と同様に
第一号被保険者と第二号被保険者(要支援者)を対象
としています。
ただし
市町村の必須事業であり、地域包括支援センターが実施機関である
という特徴があります。
内容
包括的支援事業の具体的な内容は
- 総合相談支援業務
- 権利擁護業務
- 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
- 在宅医療・介護連携推進事業
- 生活支援体制整備事業
- 認知症総合支援事業
- 介護予防ケアマネジメント
があります。
具体的に見ていくと
包括的支援事業 | |
総合相談支援業務(下記参照) | 被保険者の心身の状況、生活状態の把握、関連施設への情報の提供・連絡調整などの被保険者の保健医療の向上及び福祉の増進を目的とする。 |
権利擁護業務 | 被保険者に対する虐待の防止、早期発見などの被保険者の権利擁護のための必要な援助を行う。 |
包括的・継続的ケアマネジメント支援業務 | 保健医療・福祉の専門家による被保険者の居宅サービス計画及び施設サービス計画の検証や、被保険者の介護給付等の利用状況に関する定期的な協議を行い、自立した日常生活を営むことができるように支援を行う。 |
在宅医療・介護連携推進事業 | 医療の専門家が介護サービス事業者、居宅における医療を提供する機関との連携を図る。 |
生活支援体制整備事業 | 被保険者の自立した日常生活の支援及び要介護状態の予防、軽減、悪化の防止のための体制の整備促進を行う(下記参照) |
認知症総合支援事業 | 保健医療・福祉の専門家による認知症の早期における症状の悪化の防止、また認知症の疑いのある被保険者への総合的な支援(下記参照) |
介護予防ケアマネジメント事業 | 総合事業サービス全体を適切に提供できるよう実施する(総合事業の項目参照) |
外部委託
- 総合相談支援業務
- 権利擁護業務
- 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
- 介護予防ケアマネジメント事業
包括的支援事業のなかで上記の4項目は地域包括支援センターが運営を行います。
他の3項目は地域ケア会議で推進事業を決めて外部に委託することができます。
ただし総合事業と同様に
市町村は厚生労働省令で定める基準に適合した者に
包括的支援事業の実施方針を示した上で委託
することができます。
生活支援体制整備事業は「生活支援コーディネーター」と呼ばれる地域支え合い推進員を位置付けて業務を行うことができます。
認知症総合支援事業は2015年の「新オレンジプラン」によって推進されました。
任意事業
内容
任意事業は以下の通りです。
任意事業 | |
介護給付等費用適正化事業 | 介護給付・予防給付の費用の適正化を図り、住宅改修の点検といった利用者に適切なサービスを提供できる環境の整備を行う。 |
家族介護支援事業 | 家族介護教室の開催、認知症高齢者見守り事業等の要介護者を介護する家族等を支援するための業務を行う。 |
その他の事業 | 介護保険事業の運営安定化のための事業や、成年後見制度利用支援事業の被保険者が自立した日常生活を送れるよう支援を行う。 |
外部委託
市町村は事業の全部または一部について
老人福祉法上の老人介護支援センターの設置者等の市町村が適当と認める者に委託
することができます。
終わり
今回はここまでです。
これで介護保険制度に関わる保健給付(介護給付と予防給付)と地域支援事業の三本柱が終わりました。
次回は介護保険制度に関わる組織と専門職をまとめる予定です。
高齢者分野全体としても終わりが見え始めました!