コロナ禍で度々話題になる「低所得者」「貧困」「所得制限」などなど。
先日も公明党が18歳以下に一律10万円を給付〜とすれば、
「所得制限はしないのか?」
「生活困窮者に絞るべきだ」
と議論が交わされています。
よく日本は
セーフティネットがしっかりしている国
と言われますが、その実情はどうなっているでしょうか?
今回は、憲法で規定されている
全ての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する
という生存権に基づいた生活保護についてまとめていきます。
注→ここは非常に重たい分野なため、頻出内容に絞ってまとめています!
生活保護の基本原理
- 国家責任
- 無差別平等
- 最低生活
- 保護の補足性
これら4つのポイントがあります。
またグラフから分かるように被保護人員の数は増加傾向にあります。
国家責任
生活保護の主体は国であり、生活保護法に基づいて行われる。
無差別平等
全ての国民は差別なく保護を受ける権利がある、というもの。
ただし無条件ではなく国民かつ法律の定める要因を満たす、とあります。
最低生活
憲法25条に規定された
健康で文化的な生活
のことを最低限度の生活と言います。
保護の補足性
そもそも「生活保護」を受けるためには
資産や能力など利用しうるもの全てを活用してもなお最低限度の生活が営めない
場合に開始されます。
ただし扶養義務者の扶助が優先されるため、要保護認定のため資力調査が行われます。
生活保護の原則
では、資力調査も行われ生活保護の受給決定がされたらどうなるのでしょう?
実際の運用にあたり、
- 申請保護
- 基準及び程度
- 必要即応
- 世帯単位
という4つの原理が規定されています。
申請保護の原則
要保護者、被扶養義務者又は同居の親族の申請が必要です。
ただし、
生死に関わるなど要保護者が急迫した状況にある場合
福祉事務所長の判断で行うことができます。
これを職権保護と言います。
基準及び程度の原則
保護は厚生労働大臣の定める基準に準拠します。
この基準及び程度には
- 保護の要否を決める判定基準
- 保護費の程度を決める支給基準
という2つの機能があります。
必要即応の原則
簡単にいうと、
個々の実情に応じた対応をすること
です。
世帯単位の原則
名前の通り、保護は原則世帯単位で要否及び程度を定めます。
ただし家庭環境等で難しい場合は個人単位で定めることができます。
被保護者の権利と義務
- 要保護者とは、保護を必要とする者
- 被保護者とは、既に保護を受けている者
権利について
大きく3種類の権利があります。
不利益変更の禁止 | 一度決定された保護について不当な変更を禁止する権利 |
公課禁止 | 租税その他の公課を課せられない権利 |
差押禁止 | 既に給付を受けた金品の差押をされない権利 |
義務について
生活保護で充てがわれる費用は税金なため、権利と同時に義務も発生します。
大きく5種類の義務があります。
- 譲渡の禁止
- 生活上の義務
- 届出の義務
- 指示等に従う義務
- 費用返還義務
譲渡の禁止
保護請求権は一身専属の権利なので、譲り渡すことができない。
生活上の義務
能力に応じて勤労に励み、節約し、要保護の要因を大きくしない。
届出の義務
生活保護費算定に係る事柄に変更があった場合、直ちに届け出ねばならない。
届出先は福祉事務所長又は実施機関。
2013年、生活保護法の改正により、被保護者は福祉事務者の情報提供要求に回答義務が課されました。
指示等に従う義務
保護の実施機関は被保護者就労支援業務を行い、要保護者は従わなければならない。
従わない場合、保護の変更や停止・廃止をすることができる。
費用返還義務
急迫した状況で、資力があるにも関わらず保護を受けた場合、すみやかに返還する義務があります。
申請保護の項目で触れた職権保護や、応急的な一時保護にあたる応急保護の場合が該当します。
終わり
今回はここまで!
生活保護関連は頻出領域なうえ広い分野が出題されます。
次回は
- 保護の種類
- 保護の運営
と「生活保護」関連内容をまとめていきます。