前置き
はじめに
相談援助分野の具体的内容について整理し始めて3回目になります。
前回は相談援助の対象と、具体的なモデルについてまとめました。
今回は相談援助をどのように行なっていくのか(過程)をまとめていきます!
- システム思考とシステム理論
- 相談援助のモデルと具体的なアプローチ(A)
- 相談援助の過程←今回ココ!
- 相談援助の技術(A)
目次
相談援助の過程は、次の8項目があります。
- 受理面接(インテーク、エンゲージメント)
- 事前評価(アセスメント)
- 支援の計画(プランニング)
- 援助の実施(インターベーション)
- 中間評価・経過観察(モニタリング)
- 事後評価(エヴァリューション)
- 支援の終結(ターミネーション)
- 追跡調査(フォローアップ)とアフターケア
受理面接(インテーク、エンゲージメント)
援助者によって行われる初期の面接のことを受理面接(インテークやエンゲージメント)と言います。
受理面接は人によって1回〜数回行われます。
受理面接の目的は
クライエントの情報を整理し、問題の類別化
であり、スクリーニングとも呼ばれます。
援助者は相手の緊張をとき、話しやすい雰囲気を作ることが求められます。
傾聴や共感、受容的な態度、感情の同一化が重要視されます。
また、援助者とクライエントの間にラポール(信頼関係)を築いていくことで、今後の支援における対等な関係を構築することができます。
この「対等な関係」をパートナーシップと言います。
この受理面接で「当該機関での援助が適切ではない」と判断した場合は、他の機関への引き継ぎや紹介を行います。
これをリファーラルと言います。
事前評価(アセスメント)
アセスメントとは、
クライエントが抱える問題の意味を探す
ことを言います。
本人だけでなく、家族や友人などのインフォーマルな関係者から情報を収集することもあります。
円滑な解決に繋げるため、クライエントの潜在的な力や強みにフォーカスするストレングス視点が大切です。
また、クライエントの意思を代弁するアドボカシーが必要な場合もあり、援助者は
クライエントの最善の利益
を優先して行動する必要があります。
支援の計画(プランニング)
プランニングとは、
援助の具体的な方法を選定し、目標を設定すること
です。
目標と言っても、
- 長期的にみた到達援助目標であるゴール
- 具体的で短期的な目標であるターゲット
を設定します。
また、援助者には説明責任(アカウンタビリティ)があります。
援助の実施(インターベーション)
プランニングが決まったら、実際に実行していきます。これをインターベーションと言います。
より良い援助を展開するために
バイスティックの7原則
を活用していくことが求められます。
バイスティックの7原則とは、
個別化の原則 | クライエントの個別の状況や立場を十分に尊重する。 |
意図的な感情表現の原則 | 援助者の意図的な働きかけでクライエントの感情を引き出し、共感的理解を通じて高めていく。 |
統制された情緒的関与の原則 | 援助者は個人的な感情(主観)を持ち込まない。 |
受容の原則 | クライエントのありのままを受け入れる。ただし、反社会的な行動までは認めない。 |
非審判的態度の原則 | クライエントを一方的に批評・批判しない。 |
自己決定の原則 | クライエントの意思を尊重し、自らで選択・決定できるようにする。または代弁する。 |
秘密保持の原則 | プライバシーや秘密を守る。 |
中間評価・経過観察(モニタリング)
インターベンションの合間に点検や見直しを行うことをモニタリングと言います。
ターゲットやゴールが適切かどうか判断し、より最善の利益に繋がるよう実施されます。
理想の援助効果が得られていない場合は、再アセスメントを行い修正を行います。
モニタリングはクライエントや援助者だけでなく、機関や施設に対しても同様に行われます。
事後評価(エヴァリューション)
援助が計画通りに展開されたか、目標や課題が適切であったかなど、援助の有効性を判断することです。
クライエントと援助者とが共同で行います。
設定したゴールへの援助の終結を導くことが目的となります。
支援の終結(ターミネーション)
援助過程の最終段階であり、援助と効果の関連性を見極め評価することになります。
まず、援助者がこれまでの援助過程を整理・評価する効果測定があります。
効果測定には援助の「質」と「量」に注目したものに類別されます。
- 「質」→単一事例実験計画法(シングル・システム・デザイン)と事例研究法
- 「量」→集団比較実験計画法(統制群実験計画法)、グランプリ調査、メタ・アナリシス
といった効果測定を行います。
クライエントへの援助の終結にあたっては、
- 終結の予告
- 評価
- 援助終結に伴う感情の共有(感情の解放)
- クライエントのワーカビリティ(自立への意欲)やエンパワメントの確認
を順序立てて行い、クライエントが自信を持って安定した生活が送れるよう配慮する必要があります。
追跡調査(フォローアップ)とアフターケア
クライエントが終結後にどのような状態であるのか、一定機関後に確認することをフォローアップと言います。
フォローアップの方法としては、電話による確認や調査票を用いての訪問など、状況に応じて設定します。
状況確認後、必要に応じて援助を展開していくことをアフターケアと言います。
終わり
次回は相談援助の技術についてまとめようと思いいます。
今年(2022年)は、今までになく梅雨が早く明けて暑い日が続いています!
熱中症に気をつけながら、今年の後半戦も頑張っていきましょう!!