前回までで「保険医療サービス」が終わりました。
今回から「権利擁護と成年後見制度」領域についてまとめていきます。
そもそも論になりますが、人権とは
社会の中で幸福な生活を営むための権利であり、全ての人々が生まれながらに持つもの
とされています。
日本国憲法や世界人権宣言、国際人権規約に、人権についての普遍的原理が明記され、今日まで至っています。
はじめに
この領域では、以下のようにまとめていく予定です。
- 日本国憲法←今回ココ
- 民法(A)
- 行政法
- 成年後見制度(A)
- 日常生活自立支援事業
試験出題具合で行くと、若干民法と成年後見制度が高くなっています。
時間がないという方は、成年後見制度→民法→その他・・・と学習していただくと効率が良いです。
日本国憲法
日本国憲法には「3つの基本原理」があります。
基本的人権の尊重 | 人間が生まれながらにして持つ、侵すことのできない当然の権利 |
国民主権 | 国民が国政の最終的な決定者であるという民主主義の根幹となるもの |
平和主義 | 憲法9条に規定されている戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認 |
さらに、この基本的人権には
- 固有性
- 不可侵性
- 普遍性
という3つの性質があります。具体的にいうと
固有性 | 人権は、人間が人間であるという生まれながらに当然に有する権利である |
不可侵性 | 人言は、侵すことのできない永久の権利であり、公権力に侵害されることはない |
普遍性 | 人権は、人種・性別・身分・職業などに関係なく、全ての人間が享有するものである |
不可侵性として、侵すことのできない権利とありますが、何も制約を受けないということではありません。
憲法13条は
生命、自由及び幸福追求に対する権利(幸福追求権)
を規定していて、包括的基本権とも呼ばれます。
憲法14条は法の下の平等を規定しており、平等権とも呼ばれます。
基本的人権の類型
日本国憲法の内容は多岐に渡り、一口にまとめることは難しいです。
その中でも以下の4つの大きな権利をまとめていきます。
- 自由権
- 受益権
- 参政権
- 社会権
自由権
自由権とは、
国家の権力的介入を排除し、個人の自由な意思決定・活動を保証する権利
とされています。
主に、
- 精神的自由
- 経済的自由
- 人身(身体)の自由
があります。
さらに、精神的自由には「思想・良心の自由」「信教の自由」「表現の自由」が保障されています。
経済的自由の中には、「職業選択の自由」「財産権の保障」が規定されています。
受益権
受益権とは、
国民が国家に対して行為を要求し、その設備を利用し、給付を要求する権利
のことです。
参政権
参政権は、その名の通り
国民が国の政治に参加する権利
を言います。
2013年の公職選挙法一部改正によって、
被保佐人や被補助人と同様に、成年後見人も選挙権・被選挙権を有すること
になりました。
社会権
社会権の中には、
- 生存権
- 教育を受ける権利
- 勤労の権利
- 労働基本権
の4つの権利が規定されています。
生存権は、ドイツで1919年「ワイマール憲法」によって初めて規定されました。
国民の義務
一般に「国民の三大義務」と呼ばれるものです。
- 勤労の義務
- 納税の義務
- 教育の義務(保護する子女に教育を受けさせる義務)
この3つが規定されています。
終わり
今回はここまでです。
権利擁護の中で最も基礎となる「日本国憲法」についてまとめました。
次回は「民法」を整理していきます。