社会福祉士国家試験対策:労災保険制度の根拠と詳細解説
1. 労災保険制度の根拠法
労災保険制度は、**労働者災害補償保険法(以下、労災保険法)**に基づいて運営されています。
2. 制度の目的
労災保険法第1条に記載されているように、労災保険制度は、労働者が業務上または通勤途中に負傷、疾病、障害、死亡した場合に、迅速かつ公正な補償を行い、被災労働者やその遺族の生活を保障することを目的としています。また、被災労働者の社会復帰の促進、労働者の安全および衛生の確保・向上のための事業も行います。
3. 適用範囲
労災保険は、労働者を使用するすべての事業に適用されます。業種や規模は問いません。(労災保険法第3条)
4. 保険給付の種類
労災保険法では、以下の保険給付が定められています。
- 療養給付: 業務上の負傷や疾病の治療に必要な費用を支給します。(労災保険法第10条)
- 休業給付: 業務上の負傷や疾病により休業した場合に、平均賃金の60%を支給します。(労災保険法第12条)
- 障害給付: 業務上の負傷や疾病により障害が残った場合に、障害の程度に応じて年金または一時金を支給します。(労災保険法第14条)
- 遺族給付: 業務上の負傷や疾病、または通勤災害により労働者が死亡した場合に、遺族に対して年金または一時金を支給します。(労災保険法第16条)
- 葬祭料: 業務上の負傷や疾病、または通勤災害により労働者が死亡した場合に、葬祭を行う者に支給します。(労災保険法第18条)
- 傷病補償年金: 業務外の傷病に対して、一定の要件を満たす場合に年金を支給します。(労災保険法第78条)
5. 保険料
労災保険の保険料は、全額事業主が負担します。(労災保険法第34条)保険料率は、業種ごとに労災の発生状況などを考慮して、厚生労働大臣が定めます。
6. 請求手続き
労災保険の給付を受けるには、被災労働者または遺族が、事業主を経由して労働基準監督署に請求する必要があります。(労災保険法第22条)
7. 社会福祉士の役割
社会福祉士は、労災保険制度に関する相談支援、請求手続きの代行、社会復帰支援など、被災労働者やその遺族に対する様々な支援を行います。制度の知識を深め、適切な支援を提供できるように努めることが重要です。