前回はイギリスのエリザベス救貧法〜べヴァリッジ報告を中心に、海外の社会保障制度の概要をまとめました。
今回は日本の社会保障制度の概要を整理していきます。
主な項目は
- 社会保障の機能
- 実施方法
- 体系
- 給付
- 支出(負担)
- 実施体制
- 未来像
この7項目となります。
社会保障の機能
そもそも日本の社会保障とは
所得再分配による社会的公平と、国民経済の安定化を図る
これを目標としています。
また所得再分配にも2種類あり
垂直的再分配 | 高所得者から低所得者への再分配。生活保護制度などがこれ。 |
水平的再分配 | 同一所得階層内での再分配。国民年金制度などがこれ。 |
実施方法
次の4つに分類されます。
- 社会保険
- 公的扶助
- 社会手当(扶助)
- 社会サービス
社会保険
防貧に向けた制度にあたります。
- 国家責任→最終的には国の責任
- 国庫負担→管理運営費は国庫負担
- 強制加入
という3つの特徴があります。
公的扶助
救貧に向けた制度にあたります。
最低生活を維持できない場合に、その原因を問わず、無差別平等に給付を行う制度。
社会手当(扶助)
主な社会手当としては
児童扶養手当、特別児童扶養手当、特別障害者手当、障害児福祉手当などがあります。
2012年に児童手当法が改正され、同年から児童手当も実施されました。
改正以前は子ども手当が給付されていて所得制限はありませんでした
児童手当の支給判断は市町村長が認定します。公務員の場合は所属長が行います。
社会サービス
原則、租税を財源とした保健・医療・福祉サービスの現物支給のこと。
体系
1950年社会保障制度審議会が勧告したものが基本になっています。
狭義の社会保障と呼ばれる5分野と、広義の社会保障7分野があります。
↓以下の図を参照のこと↓
給付
正式には社会保障給付費と言います。
社会保険制度、家族手当、公衆衛生サービスといった国民に直接給付された費用の総額のこと。
↓金額と比率は図を参照してね↓
支出(負担)
社会支出という指標があり
社会保障給付費+施設整備費など個人に転移されない費用=社会支出
のことを指します。
国内生産比は22.87%、国民所得比は31.03%で、イギリスと同水準です(2018年度)
政策分野では高齢が46%と最も大きく、次点に保健34%、家族7%・・・となります。
国民所得に対する租税負担と社会保障負担(保険料)の割合を国民負担率という
日本の負担率は44.3%で、租税負担率25.4%、社会保障負担率18.9%です。
先進国と比較するとアメリカより高く欧州より低い水準になっています。
実施体制
社会保険の管理運営は厚生労働省になります。
なお社会保険の受給資格や保険料などに納得いかない場合、不服申立制度があり審査請求を行う権利があります。
審査請求は各々異なりますが、基本は2審制です。
未来像
2006年 国は社会保障の未来像として
- 自助→自分でやる
- 共助→リスク分散し補填
- 公助→公的扶助、社会福祉を行う
と定めました。
2007年 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)が提唱されました。
終わり
今回のテーマ「日本の社会保障の概要」はここまで!
すごくややこしくて覚えにくい内容ばっかりですね・・・
これに年金制度、医療保険制度、介護保険制度が絡んできて
?????
となりがちな分野です。
コツコツ頑張っていきましょう!
次回は、社会調査の中でも「量的調査」についてまとめます!