はじめに
相談援助領域も最後の大ボスとなりました。
これまで、相談援助の大枠をまとめてきましたが、今回から実際の相談スキルを整理していきます。
- システム思考とシステム理論
- 相談援助のモデルと具体的なアプローチ(A)
- 相談援助の過程
- 相談援助の技術(A)←今回ココ!
内容が多岐にわたるため、複数回に分けて記事にする予定です。
目次
相談援助の技術と一言に言っても、実際には
援助者の心構えや面接技法、各種連携など
社会福祉士の試験対策を行なっていると、自然に頭に入っている内容も多いところです。
具体的には以下の全14段階を3部構成でまとめていこうと思います。
- 援助者の態度や姿勢(心構え)
- 面接技法
- マネジメント
- アウトリーチ
- 相談援助における社会資源
- ネットワーキング
- ケア会議
- 社会活動法
- 集団を活用した相談援助
- スーパービジョン
- コンサルテーション
- 記録
- 評価
- 個人情報の取り扱い
とまあ長丁場ですが、頑張っていきましょう!
援助者の態度や姿勢(心構え)
ねぎまとはむりんのやり取りにあるように、援助者はクライエントの利益を最優先しなければなりません。
ここまで学習を進めてきた皆さんなら予想がつくと思いますが、援助者が相談援助に臨む際に持っておくべき心構えは
「傾聴」「受容」「共感」
の3つです。
クライエントに寄り添い、ラポールを構築しながら相談援助を行い、クライエントの自己決定を促していきます。
援助が進んでいくと、クライエントが親や社会に向けていた無意識的な感情や葛藤を援助者に向けてくることがあります。これを転移と言います。
また、逆に援助者がクライエントにそうした感情を向けることを逆転移と言います。
面接技法
技法としては9つの話法と1つの非話法があります。
話法
励まし | 頷いたり相槌を打ったりして、傾聴の姿勢を伝える。クライエントに安心感を与える。 |
反復(繰り返し) | クライエントの言葉を繰り返すことで、より深い共有を図る。 |
言い換え | クライエントの話の趣旨を変えずに言い換えることで、理解していることを伝える。 |
感情の反映 | クライエントの感情を援助者が言葉にして返す。 |
明確化 | クライエントの話や感情がはっきりしない場合に、より詳しく表現するように促す。 |
アイメッセージ | I message.「私は〜と思う」と援助者を主語にした言い方で伝える。 |
要約 | 面接の最後に話の要点をクライエントに伝え返す。 |
オープンクエスチョン | クライエント自身が言葉で答える質問。 |
クローズドクエスチョン | 「イエス」「ノー」で答えられるような質問。 |
非話法
ノンバーバル・コミュニケーションとも言われます。
特に援助者はクライエントの沈黙に注意を払うことが必要です。
沈黙には、言葉にできない抵抗や不安、援助者への安心感など状況によって様々です。
マネジメント
マネジメントというと、対象をクライエントとするかサービスにするかに類別されます。
- クライエントを対象とするケースマネジメント
- サービスを対象とするケアマネジメント
歴史としてはクライエントを対象としたケースマネジメントから始まり、しだいにケアマネジメントが普及してきました。
ケースマネジメントはクライエントのQOLを最大限に高めるため、ニーズに合った適切な援助を適切な時期に行うことが求められます。
ケアマネジメントはクライエントの地域生活を支援するため、保健・医療・福祉サービスを調整し、クライエントと結びつけていくことが必要とされます。
ケアマネジメントを行うには、受理面接(インテーク)からエヴァリューションまで、相談援助の過程を踏んでいく必要があります。
アウトリーチ
アウトリーチとは、
援助者が接近困難な人の元に出向く援助技術
のことを言います。
対象は、福祉サービスの利用に不安のある人や利用方法が分からない人など多岐にわたります。
アウトリーチの方法には以下の2種類があります。
アグレッシブ・ケースワーク | 問題やニーズを抱えているが、自分から行動できない人に援助者の方から積極的に関わる。 |
包括的地域生活支援プログラム | 重度の精神障害者を支えるプログラムの一つ。医師や看護師、SWがクライエントの生活の場に出向く。 |
相談援助における社会資源
社会資源とは、
人々の社会生活上のニーズや問題解決を目的として活用される人や制度
の総称を指します。
また社会資源はフォーマル、インフォーマルなものに2分され、
- フォーマルな社会資源とは、行政や社会福祉施設、各種専門職によるもの
- インフォーマルな社会資源とは、家族や近隣、ボランティアなど
があります。
ここで留意しておく必要があるのが、
クライエントのニーズは多様である一方、社会資源は質・量的に一定である
ということです。
援助者はクライエントのニーズに応えながら、社会資源との調和を取り、場合によっては調整や改善を行う必要があります。
ネットワーキング
ネットワークとは、
クライエントのニーズを満たすため、(イン)フォーマルな社会資源を結びつける
ことを言います。
ソーシャルサポートネットワークと言い、サービスの提供者同士が連携し、援助の目標や内容について共通理解のもとで協働する必要があります。
ケア会議
ケアカンファレンスとも呼ばれます。
援助に関わる人が集まって、クライエントに関する情報を共有する
役割があります。
社会活動法
ソーシャルアクションともいい、福祉問題に対して当事者や地域住民が問題の解決を目指すことを意味します。
具体的には、広報活動や署名活動、請願、宣伝などを通して、
環境や制度の変革を目指す社会福祉運動の展開
を目的としています。
終わり
今回はここまでです。
相談援助の技法を整理してきましたが、SWの理本理念を理解していれば入りやすかったのではないでしょうか。
- クライエントの最善の利益の追求
- 専門機関(専門職)への橋渡し
- 傾聴・受容・共感の姿勢
などなど、これまでの内容が相談援助にも活用されているのが確認できたことでしょう。
次回は「集団を活用した相談援助」をまとめます。