はじめに
前回は、相談援助の技術の大枠と相談援助を行うにあたっての基礎・基本的な知識の確認を行いました。
その中でも「集団を活用しての相談援助」は、SWの相談業務の中で中核となるものです。
- システム思考とシステム理論
- 相談援助のモデルと具体的なアプローチ(A)
- 相談援助の過程
- 相談援助の技術(A)←今回ココ!
グループワーク
集団を活用した相談援助のことを「グループワーク」と言います。
レヴィンが唱えたグループダイナミクスやプログラム活動を援助媒体とし、個人の成長や問題の解決を促します。
グループダイナミクスとは
集団力学のことです。
1つのグループの中に複数の小集団を形成し、複雑な相互関係から事象を明らかにしていくことを言います。
プログラム活動とは
グループの目標達成のための全活動(計画ー実施ー評価)のことです。
ただし、プログラム活動はそれ自体が目的ではなく、プログラム活動を援助媒体として展開することで得られる効果こそが集団援助技術の特徴であることに注意しなくてはいけません。
また、集団援助技術には
- 準備期
- 開始期
- 作業期
- 終結期
の4つの過程があります。
具体的に見ていくと、以下のようになります。
準備期 | 援助者はメンバーの不安や緊張といった気持ちを受け止め、調整・準備を行う。波長合わせ、と呼ばれる。 |
開始期 | 援助者はアイスブレイクなどでメンバーの緊張を解き、安心感や親近感を持てるようにする。 |
作業期 | 援助者は個人への支援やメンバー間の結び付きの強化を助けるとともに、グループの凝集性や対立といった諸々の |
終結期 | 援助者はメンバーの感情を受容し、事後評価を行う。 |
集団援助技術における留意点
援助者はグループの主体になるのではなく、側面からの支援を心がける必要があります。
同時にメンバー内に現れた葛藤を解決したり、不要な争いや諍いを避けるために規則を設けて行動制限を課したりする場面も出てきます
集団援助技術の原則
集団援助技術には7つの原則があります。
個別化の原則 | 個人に焦点を当てるグループ内の個別化と、まとまりを意識するグループの個別化の2つに区分される。 |
受容の原則 | メンバーの価値観や倫理観といった「ありのまま」を受け入れる。 |
参加の原則 | メンバーの自主的・主体的参加を促す。またグループ内で大きな影響力を持つメンバーをリーダーを呼ぶ。 |
葛藤解決の原則 | グループに現れた葛藤や課題を、グループ自ら解決できるように導く。 |
経験の原則 | グループ活動を通して経験を積み、社会的成長を図る。 |
制限の原則 | グループの行動に制限を設け、一定の条件下でも効果的な活動が行えるようにする。 |
継続評価の原則 | 継続的に分析・評価し、次の活動へ発展させていく。 |
援助者を育てていく
スーパービジョン
スーパービジョンとは、
熟練した援助者(スーパーバイザー)が、経験の浅い援助者(スーパーバイジー)を支援する
ことを言います。
スーパービジョンには
- 管理的機能・・・個々の新人(スーパーバイジー)が正しく職務を理解・遂行できているか評価する
- 教育的機能・・・相談援助の理論を実践の場で活用するための技術を熟練者が提供する
- 支持的機能・・・新人の話を受容的態度で傾聴し、心理的に支え、援助者としての成長を促す
の「3つの機能」があります。
また、その行い方も
- 個別的スーパービジョン・・・新人と熟練者がマンツーマン形式で行う(面接方式が主)
- グループスーパービジョン・・・ケース会議や事例研究会といったグループを活用して支援・指導する
- ライブスーパービジョン・・・新人と熟練者が同じケースに関わり、実際の場面を通じて経験を積む
- ピアスーパービジョン・・・SW同士や同じ課題を感じる仲間(ピア)が集まり、共通の課題検討などを通して行う。
という「4つの種類」があります。
コンサルテーション
コンサルテーションとは
援助を進めていく過程において、医師や弁護士などの専門家(コンサルタント)に相談すること
を言います。
スーパービジョンは管理的機能があり、ベテランと新人の援助関係にある一方で、コンサルテーションは対象と任意で対等な関係にある
という点が異なります。
「クライエントと援助者の関係」も管理的機能が存在するため、スーパービジョンもこちら側に近いと言えます。
※相談援助の際は「クライエントの利益の最優先」があるため、一概に当てはまる訳ではありません。
終わり
今回はここまでです。
集団を活用した援助技術を中心に、援助者を育てていくための機能・種類をまとめました。
相談援助を行なった後の「記録・評価」を中心に、アフターについてまとめていく予定です。
頑張りましょう!!