社会福祉士国家試験最多配点分野の「高齢者」も今回で最後になります。
高齢者分野を見ていくと
このようになっていましたね。
認知症の介護
症状
認知症と言っても
- 認知症状
- BPSD(認知症の行動・心理症状)
に大別されます。
認知症の症状 | |
認知症状 | 記憶障害、見当識障害、理解力・判断力の障害、実行機能の障害など |
BPSD | 脳の病変だけでなく、個人因子や環境因子の影響から、妄想、抑うつ、幻覚、睡眠障害などのいった二次的に出現するもの |
対応
代表的な認知症としては
- アルツハイマー型認知症
- 脳血管性認知症(血管性認知症)
があります。
代表的な認知症 | |
アルツハイマー型認知症 | 脳全体の萎縮や脳室の拡大、知能全般の障害、人格の変化が現れる。 |
脳血管性認知症(血管性認知症) | 記憶障害は重いが人格の変化はあまり見られず、症状にムラがある(まだら認知症)運動麻痺や知覚麻痺、言語障害を伴うことが多い。 |
どちらも画一的な対応はできませんが、共感的な態度で接したり、事故に配慮して見守るなどストレスをかけないように介護する必要があります。
家族への支援
認知症高齢者の家族は肉体的にも精神的にも負担が大きく、孤立化する場合が多いです。
これが高齢者虐待の原因になることもあります。
2012年「認知症施設推進5カ年計画」(オレンジプラン)によって、
- 認知症サポーターの育成
- 認知症カフェ(認知症の人と家族、地域住民、専門職等が集う場)
の普及が進みました。
終末期の医療
死期が近づいた状態を終末期と言い、この時期に行う医療をターミナルケアと言います。
ターミナルケアにおいては
本人のリヴィングウィルが最優先されるべき
と考えられています。
終末期における肉体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛などをケアし、人格を尊重したケアが必要となります。
住環境の整備(バリアフリー)
バリアフリーへの配慮
バリアフリーとは「障壁を除去する」という意味です。
高齢者や障害者が安全に生活することができるよう、さまざまな配慮が行われています。
バリアフリー空間を作るための配慮 | |
手すりの設置 | 身体を上下方向に移動させる場所には縦手すり、水平移動の場所には水平手すりを設置する。 |
段差の解消 | 段差が大きい場所にはスロープを設置する。 |
床への配慮 | 転倒による骨折を予防するため、滑りにくい素材を選ぶ。 |
戸への配慮 | 戸の形状は引き戸を使用し、開き戸の場合は握りやすさと操作性からレバー式が望ましい。 |
室内の温度・湿度 | ヒートショック対策としてトイレや浴室、脱衣所なども含めて一定の室温に保つ。 |
実際
住環境の実際としては以下のようなものがあります。
住環境設備の実際 | |
居室(寝室) | 災害や緊急時に備えて1階にあること。 |
トイレ | 暖房器具を使うなどトイレの内外で温度差が生じないようにする。 |
浴室 | 浴槽で出入りを安全に行えるよう、浴槽の縁と同じ高さの椅子や台を置く。 |
洗面所・脱衣所 | ヒートショックを避けるため、暖房器具を設置する。 |
玄関・廊下 | 壁面に水平手すりを取り付け、移動の安全を図る。 |
終わり
全9回にわたって「高齢者」分野をまとめていきました。
繰り返しになりますが、
- 高齢者福祉関連法
- 介護保険制度に伴う保険給付(各種サービス)
この2領域が重要度Aで優先度は高いです。
配点が高くなっている分野だけに覚えることも多いですが、事前の対策をして得点源にしていきましょう。
次回は「福祉行財政と福祉計画」分野の福祉計画領域をまとめる予定です。