前回まで障害者自立支援制度について、法律や具体的支援、国や組織の役割を整理しました。
今回は障害者福祉の観点で重要な法律をまとめていきます。
- 身体障害者福祉法
- 精神保健福祉法
- 発達障害者支援法
- 障害者基本法
- バリアフリー新法
- 障害者虐待防止法
1 身体障害者福祉法
1949年 制定
当時は戦後の傷痍軍人対策として制定されました。
この法律の特徴は次の4つです。
身体障害者社会参加支援施設
- 身体障害者福祉センター
- 舗装具制作施設
- 盲導犬訓練施設及び視聴覚障害者情報提供施設
身体障害者更生相談所
設置義務は都道府県にあります。
- 市町村との連絡調整
- 身体障害者に関する相談
- 医学的機能判定
- 舗装具の適合判定
などを行います。
身体障害者福祉司
都道府県は、身体障害者更生相談所に設置義務あります。
市町村は、福祉事務所に任意で配置となります。
身体障害者手帳
申請希望者の居住地の福祉事務所または市町村の担当課が窓口となります。
15歳未満の場合は保護者が行います。
身体障害者障害程度等級表に基づいて、1〜6級を交付しています。
2 精神保健福祉法
1950年 大元の法律制定←身体障害者福祉法の翌年
名称が
- 「精神衛生法(1950)」
- 「精神保健法(1987)」
- 「精神保健福祉法(1995)」
と変化していきました。
この法律の特徴は次の2つです。
精神障害者保健福祉手帳
申請希望者の居住地の福祉事務所または市町村の担当課が窓口で、都道府県知事の指定する医師の診断書か年金手帳の写しを提出します。
記載される「障害の等級」は1〜3級に区分されます。
精神保健福祉法に基づく入院制度
任意入院
本人の同意に基づいた入院
医療保護入院
医療及び保護を目的とし、家族の同意に基づいた入院(本人の意思ではない)
措置入院
2名以上の精神保健指定医の診察で、自傷他害の恐れありと診断された場合に、都道府県知事が入院させる入院
応急入院
医療及び保護を図る上で早急な入院を必要とする場合、72時間を限度に本人の同意なく入院させる入院
3 発達障害者支援法
2004年 制定→翌年に施行
発達障害の早期発見と発達支援に関する国や地方への責務を明らかにして、就労支援、発達障害者支援センターの指定といった自立及び社会参加の促進を目的としています。
そもそも、発達障害の定義は
自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他類する脳機能障害が低年齢で発言するもの
です。
この法律の特徴は次の3つです。
保育の支援
市町村は、保育の実施にあたり発達障害児の健全な発達を図らねばならない
就労の支援
都道府県は、発達障害者の就労支援・就労機会の確保に努めなければならない
発達障害者支援センターの整備
全都道府県、指定都市に整備(子ども・子育て応援プランに基づく)
4 障害者基本法
1970年 前身の心身障害者対策基本法が制定
1993年 障害者基本法に大幅改正
2004年 一部改正
↓2004年改正の概要↓
- 障害を理由とする差別の禁止
- 従前の障害者の日(12月9日)を障害者週間(12月3日〜9日)に改正
- 障害者計画の策定を義務化
この障害者計画は、
- 国に障害者基本計画の策定
- 都道府県に都道府県障害者計画の策定
- 市町村に市町村障害者計画の策定
2011年 一部改正
↓2011年改正の概要↓
- 障害者の定義の見直し
- 地域社会における共生等を設けた
ここで改正された障害者の定義は、
身体・知的・精神障害〜〜があり、障害及び社会的障壁により制限を受ける状態にあるもの
となりました。
5 バリアフリー新法
2006年 施行
正式名称は、
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律
と長いです。
ポイントは、
管理者に必要な措置を講ずる
と明記されていることです。
6 障害者虐待防止法
2011年 成立
この法律における障害者虐待とは
養護者、障害者福祉施設従事者等及び使用者による虐待
となっています。
この法律で防止に向けて取り組む特徴は2つ。
通報義務と対応施設です。
通報義務
まず障害者虐待を発見した場合、通報義務があります。
しかし、「誰からの」虐待なのかで通報先が異なります。
具体的には市町村への通告か、市町村または都道府県なのか、です。
- 市町村への通告は、養護者または福祉施設従事者による虐待
- 市町村または都道府県への通告は、使用者による虐待
また厚生労働大臣は虐待の状況・措置の公表義務があります。
対応施設
では、届け出られたらどうなるのでしょう?
市町村及び都道府県には、それぞれ
- 市町村障害者虐待防止センター
- 都道府県障害者権利擁護センター
としての機能を果たす責任があります。
他にも基幹相談支援センターに市町村障害者防止センターの業務を委託することも可能です。
終わり
これで「障害者福祉」分野の5領域は完全終了です!
苦手な領域を中心に覚える手助けになっていただけたら幸いです。
次回は「福祉行財政と福祉計画」をまとめる予定です。