生活保護の分野も残すところ今回の「低所得者」領域となりました。
生活保護分野では前半でまとめた「必要即応の原則など保護の原理」や「8つの扶助」の方がウェイトは大きいです。
ここをしっかり覚えたのちに、前回の「保護の動向(現状)」で補足して、今回で締めてください。
生活保護における低所得者対策として
- 生活福祉資金貸付制度
- 生活困窮者自立支援法
- 母子・父子・寡婦福祉資金貸付制度
- 公営住宅制度
- ホームレス自立支援法
この5つの制度(法律)をまとめます。
生活福祉資金貸付制度
目的と運営
この制度の目的は
- 低所得者
- 高齢者
- 障害者
の生活を経済的に支え社会参加を促進させること、です。
2009年に総合支援資金が設立され「4種類」の貸付資金となりました。
- 総合支援資金
- 福祉資金
- 教育支援資金
- 不動産担保型生活資金
の4種類です。
また
- 連帯保証人がいらない
- 貸付利子が無利子(または低利子)
に変更になったという特徴があります。
制度の所管は厚生労働省ですが、貸付業務は都道府県社会福祉協議会が担っています。
貸付業務の一部を市町村社会福祉協議会に委託しています。
そして借り受け世帯の相談支援を民生委員が行います。
では、4種類の貸付資金の特徴を見ていきましょう。
総合支援資金
- 生活支援費
- 住宅入居費
- 一時生活再建費
を対象に「原則」として
保証人「必要」
無利子(保証人なしの場合は年利1.5%)
で貸付ます。
福祉資金
- 福祉費
- 緊急小口資金
を対象に「原則」
福祉費は
保証人「必要」
無利子(保証人なしの場合は年利1.5%)
緊急小口資金は
保証人「不要」
無利子
と違っています。
教育支援資金
- 教育支援費
- 就学支援費
を対象に
保証人不要
無利子
世帯内で連帯借受人が必要
連帯保証人は借受人と同等の返済義務があります。
連帯借受人は借受人と連帯して債務を負担する者で、親権者または未成年後見人のみです。
不動産担保型生活資金
- 不動産担保型生活資金
- 要保護世帯向け不動産担保型生活資金
の2種類があり
不動産担保型生活資金は
保証人「必要」
要保護世帯向け不動産担保型生活資金は
保証人「不要」
利子は年3%または長期プライムレートのいずれか低い利率を適用
となっています。
生活福祉資金貸付制度のまとめ
対象 | 保証人 | 利子の有無 | |
総合支援資金 | 生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費 | 必要 | 無(保証人なしは年1.5%) |
福祉資金 | 福祉費 | 必要 | 無(保証人なしは年1.5%) |
緊急小口費 | 不要 | 無 | |
教育支援資金 | 教育支援費、就学支援費 | 不要(連帯借受人が必要) | 無 |
不動産担保型生活資金 | 不動産担保型生活資金 | 必要 | |
要保護世帯向け〜〜資金 | 不要 | 年3%か長期プライムレート |
制度の利用
種類が覚えられたところで、ここの最後は実際に利用するときの流れです。
- 市町村社協に相談・申込し、計画を策定
- 策定した計画を都道府県社協へ送付
- 生活福祉資金運営委員会で審査
- 民生委員と相談・支援を受けながら
- 都道府県社協に償還
となります。
文字が見にくいですけど、記事を読んでもらえば分かって頂けるかな。
生活困窮者自立支援法
さて、福祉資金貸付制度がす〜〜んごく重たかったので、ここからは最重要点だけまとめていきます。
2013年生活困窮者自立支援法公布
目的は
生活保護に至る前段階の自立支援強化
であり、
- 自立相談支援事業→必須!
- 住宅確保給付金の支給→必須!
- その他の支援→努力義務
となっています。
母子・父子・寡婦福祉資金貸付制度
母子、父子、寡婦は生活福祉資金貸付制度を利用できません。
母子・父子・寡婦福祉資金貸付制度を利用することになります。
貸付は都道府県が行います。
公営住宅制度
1951年 公営住宅法が制定
事業主体は地方公共団体で、
- 一般住宅
- 特定目的住宅
があります。
特定目的住宅は母子世帯、高齢世帯、障害者世帯など生活困窮度が高い世帯に供給される住宅のことです。
ホームレス自立支援法
2002年 ホームレス自立支援法が制定
この法律によって
- ホームレスの定義
- 国及び地方公共団体の責務
- 民間団体の活用など
が規定されました。
終わり
これで全4回にわたって「生活保護」分野をまとめました。
何度も書いて恐縮ですが、
重要度は1が最も高く、2〜3〜4という優先順位です。
(3と4は同程度と見ています)
時間が厳しい方は1、2を優先して取り組んでください。
次回からは試験で得点が10点分を占める「高齢者」分野をまとめていく予定です。
(他の分野は8点分となっています)