今回で「保健医療サービス」領域は終わりになります。
お世話になったことのある職業や、SWとして目指す職業もあるでしょう。
現場の様子を想像しながら学習していきましょう!
はじめに
保健医療サービスに携わる専門職といえば多岐にわたります。
その中でも中核をなす専門職といえば
医師、保健師、看護師、理学療法士、救急救命士、MSWなどなど
挙げていくとキリがありません。
ですので、試験に出題されやすい専門職に狙いを絞ってまとめていきます。
それぞれの専門職とその実際
医師
医師とは、「医師法」に基づく医療専門職です。
医師法第一条に
医師は医療及び健康指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、国民の健康な生活を確保する
とされています。
また医師は高度な専門知識、専門技能を有することから
- 業務独占・・・医師でなければ医業をしてはならない
- 名称独占・・・医師でなければ医師及び紛らわしい名称を用いてはならない
という2つの独占が認められています。
前回の「医療システムの概要」の項目でまとめたインフォームドコンセントですが、1964年の世界医師会「ヘルシンキ宣言」でまとめられました。
保健師
国家資格であり、保健師助産師看護師法で
厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事する者
と規定されています。
助産師
国家資格であり、保健師助産師看護師法で
厚生労働大臣の免許を受けて、助産または妊婦、じょく婦もしくは新生児の保健指導を行う女子
と規定されています。
看護師
国家資格であり、保健師助産師看護師法で
厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者もしくはじょく婦に対する療養上の世話または診療の補助を行う者
と規定されています。
准看護師
都道府県の認定資格であり、保健師助産師看護師法で
都道府県の免許を受けて、医師、歯科医師または看護師の指示を受けて行う者
と規定されています。
ここまでを整理すると・・・
免許授与者 | 役割 | 特徴 | |
医師 | 厚生労働大臣(国家資格) | 医療、保健指導 | 業務独占、名称独占 |
保健師 | 厚生労働大臣(国家資格) | 保健指導 | 保健師の名称 |
助産師 | 厚生労働大臣(国家資格) | 保健指導 | 女子のみ |
看護師 | 厚生労働大臣(国家資格) | 療養上の世話、診療の補助 | 保健指導が含まれない |
准看護師 | 都道府県知事 | 療養上の世話、診療の補助 | 医師、歯科医、看護師の指示のもと |
理学療法士(PT)
理学療法とは
身体に障害のあるものに対し、基本的動作能力の回復のため、治療体操その他の運動及びマッサージや温熱などの物理的手段を加えるもの
とされています。
主に高齢者や傷病による麻痺、発達の遅れ、身体的に障害のある患者に対して、医師の指示のもと理学療法が行われます。
主な理学療法としては
- 物理療法(温熱、電気、マッサージなど)
- 運動療法(歩行訓練、関節可動域訓練、バランス訓練など)
- 日常生活動作訓練(ADL訓練)
の3つに大別されます。
作業療法士(OT)
作業療法とは
身体または精神に障害のある者に対し、応用的動作能力または社会適応能力の回復のため、手芸、工作その他の作業を行わせる
とされています。
診療の補助は看護師の業務ですが、PT及びOTも医師などの指示のもと行うことが規定されています。
言語聴覚士(ST)
言語聴覚士は、
音声機能、言語機能、聴覚機能に障害のある者に対して、その機能維持向上を図るため、必要な訓練、検査、助言などを行う者
とされています。
またPT、OTと同じく「診療の補助」を行うことができます。
中でも嚥下訓練や人工内耳の調整を行うことができるのが特徴です。
救急救命士(EMT)
救急救命士は
医師の指示のもとに、救急救命処置を行うことができる者
とされています。
ここまでの共通項
PT、OT、ST、EMTは、どれも全て
厚生労働大臣の免許を受ける国家資格
です。
医療ソーシャルワーカー(MSW)
医療ソーシャルワーカーは、主に医療機関において患者の退院支援や職場復帰、施設入所といった
患者の地域生活が円滑に営むことができる
ことを目的に、社会福祉の立場から相談援助を行うことです。
ただし、根拠法はなく(2022年現在)名称も統一されていません。
資格も必須とはされておらず、社会福祉士や精神保健福祉士が望ましいとされているくらいです。
MSWの業務
1989年に医療ソーシャルワーカー業務指針を厚生省(現在の厚生労働省)がまとめました。
これによると、MSWは病院などにおいて管理者の監督のもと以下のような業務を行うとされました。
- 療養中の心理的・社会的問題の解決や調整援助
- 退院援助
- 社会復帰援助
- 受診・受療援助
- 経済的問題の解決・調整援助
- 地域活動
2002年の改訂で、介護保険制度に関連して介護支援専門員との連携やアセスメントも行うようになりました。
終わり
今回はこれまでです。
これで「保健医療サービス」領域はコンプリートになります。
次回からは「権利擁護と成年後見制度」をまとめていく予定です。