- システム思考とシステム理論
- 相談援助のモデルと具体的なアプローチ(A)
- 相談援助の過程
- 相談援助の技術(A)←今回ココ!
相談援助の技術は、
今回の「記録・評価」で全てになります。
記録
記録とは、大きく2つの意味を持ちます。
一つは、記録者自身が活用するためのもの
もう一つは、第三者への情報伝達するためのもの
です。
また、記録には機密保持の対象となる内容が含まれていることが多く、その管理には十分な配慮が必要となります。
様式
記録の様式には、以下の5種類があります。
過程記録 | 援助過程を時系列に沿って整理・記述したもの |
要約記録 | 長期にわたる援助について、内容や経過の要点をまとめたもの |
逐語記録 | 会話の内容を、そのままの言葉通りに記録したもの |
項目記録 | 内容をいくつかの項目ごとに整理し記録したもの |
終結記録 | 援助過程の集結における総括的な記録 |
記録の文体
記録の様式に合わせて、用いられる文体も以下のように分けられています。
会話体 | 会話の内容を、そのままの言葉通りに記す文体(逐語記録に用いられる) |
説明体※下記参照 | 会話の内容や援助者の行為、事実について、援助者が趣旨を解釈して記す文体 |
要約体 | 説明体による規則を整理し、短い文章に要約して記述したもの(全体像の把握に有効とされる) |
叙述体 | 援助の過程で生じた事柄を、記録者の解釈を交えずに、時系列に沿ってそのまま記録したもの |
説明体と叙述体は対義関係にあります(説明体⇄叙述体)
説明体は、援助者が趣旨を解釈するものであるが
客観的事実と、援助者の主観による見解とを明確に区別して記録する
という重要な点があります。
マッピング技法
複雑な人間関係の状況に関わることが多いSWは、記録方としてマッピング技法があります。
代表的なものとして、以下の3つの技法があります。
ファミリーマップ・・・その名の通り、家族間のコミュニケーション状況や力関係、結びつきなどを示したマッピング技法です。
ジェノグラム・・・ボーエンが考案した技法。3世代以上の拡大家族間の相互作用の見取り図で、何世代にもわたって家族内で伝承されているような連鎖的問題の発見に有効とされています。
エコマップ・・・ハートマンが考案した技法。家族関係だけでなく、周囲の人々や社会資源とのつながりも含めて図式化したもの。生態学やシステム理論が取り入れられています。
評価
福祉サービスの質の向上と、クライエントの選択に資するために社会福祉法において義務付けられています。
大きく2種類に分類され
- 自己評価
- 第三者評価
があります。
自己評価
社会福祉事業の経営者が、標準化された評価基準を元にして、自ら提供するサービスの質の評価を行うものを自己評価と言います。
良質かつ適正なサービスの提供に努めるため、事業者に対して義務付けられています。
第三者評価
当事者(援助者とクライエント)以外の公正・中立な第三者評価機関が、専門的で客観的な立場から評価するものを第三者評価と言います。
効果測定
援助の有効性を判断することを効果測定と言います。
具体的には、以下のようなものがあります。
単一事例実験計画法 | 「シングル・システム・デザイン」ともいう。個々のケースに対して、その援助がどれだけ効果的に機能したか測定する。 |
集団比較実験計画法 | 「統制群実験計画法」ともいう。援助を行うことにより、援助を行わない場合と比べて結果にどの程度違いが現れるかを測定する。 |
グランプリ調査 | 複数の異なる援助方法の効果の差を検証する際に用いる。 |
メア・アナリシス | 「ランダム化比較試験」ともいう。特定の援助方法に対して、多数の調査結果を収集・分析することで、より普遍的な検証をしようとする方法。 |
事例研究法 | 数量化できない質的な問題や効果について評価する際に用いられる。 |
単一事例実験計画法は、介入前後における変数水準をグラフ化し、視覚的に判定する方法が多く用いられています。
相談援助と個人情報の保護
2003年に制定された「個人情報保護法」において、個人情報とは
生存する個人に関する情報であり、特定の個人を識別できるもの
と定義されています。
主たる目的以外で個人情報を使用する場合には、本人の同意が必要になります。
終わり
これで、「相談援助の理論と方法」領域は完了となります!
毎年の試験で必ず出題される範囲であり、SWの基礎・基本的な考え方や技能、原則が確認できるため、知識定着の確認にも有効です。
次回は「保健医療サービス」領域の続きをまとめていきます。