はじめに
保健医療サービス領域の全体像は以下の通りです。
- 保健医療制度とは
- 保健医療制度の概要と診療報酬 ←今回ココ!
- 専門職の役割
SWだけでなく、一般生活を送る上でも知っておいて損はない内容の領域です。
教養を深めるという感じで、読み進めていきましょう!
保健医療サービスの概要
「概要」と一口に言っても、今回は
- 医療施設
- 保健医療対策
- 医療システム
の3つに分類してまとめていきます。
医療施設の概要
医療施設とは、「医療法」によって病院、診療所、助産所の3つに定義されています。
似たようなカテゴリーに医療提供施設というものがあり、こちらは病院、診療所、介護老人施設、介護医療院、調剤薬局などを指します。
医療施設 | 病院、診療所、助産所 |
医療提供施設 | 病院、診療所、介護老人施設、介護医療院、調剤薬局、など |
病院
病院とは、20人以上の患者を入院させるための施設のあるものを指します。
病院の中でも
- 地域医療支援病院
- 特定機能病院
- 療養病床
- 回復期リハビリテーション病棟
の4種類に分類されます。
地域医療支援病院 | 地域医療の中核として、かかりつけ医(歯科医)等を支援する能力を備え、救急医療を提供可能で、200床以上の病床を持つものについて、都道府県知事が承認している病院。 |
特定機能病院 | 高度な医療、開発、評価、研修する能力を有し、他の病院や診療所から紹介された患者に対して医療を提供できることが必要。また厚生労働大臣の承認を得ている病院。 |
療養病床 | 病院(診療所)の一般病棟のうち、長期にわたる療養を必要とするもの。都道府県知事の承認が必要。 |
回復期リハビリテーション病棟 | 2000年の診療報酬改定によって設立。脳血管疾患または大腿骨頚部骨折等の患者に対して、ADL向上を目的としたリハビリを行う。厚生労働大臣の承認が必要。 |
また、医療レベルが高度になっていくことから
病院、診療所→第一次医療圏(市町村レベル)
地域医療支援病院→第二次医療圏(複数の市町村レベル)
特定機能病院→第三次医療圏(都道府県レベル)
となっていきます。
診療所(クリニック)
診療所とは、19人以下の患者を入院させるための施設のあるものを指します。
助産所
助産師が業務を行う場所をいいます。
妊婦、産婦、または褥婦10人以上の入所施設を持つことはできません。
褥婦とは
妊娠・分娩による変化が、妊娠前の状態まで回復する期間にある産経婦
のことを言います。
保健医療対策の概要
まず疾患への対策において重要なのが「予防」です。
予防と言っても
- 一次予防→発症を防ぐ
- 二次予防→健康診断などの早期発見・早期治療
- 三次予防→自立や社会参加を目指すリハビリテーション
があります。
日本では疾患の予防を進めていこうと、以下のような施策が行われました(健康づくり対策)
第一次国民健康づくり対策 | 1978年度から10年を期間とした。 |
第二次国民健康づくり対策 (アクティブ80ヘルスプラン) | 1988年度から開始。 国民の生活習慣を栄養・運動・休息全ての面でバランスが取れることを目標とした。 |
健康日本21 ※健康増進法! | 2000年に2010年を目標年次として策定された。 健康寿命の延伸を目標とし、達成に向けて対策が必要な9つの分野を選定、目標値を定めた。 |
第二次健康日本21 | 健康日本21の評価を受け、2013年度から2022年度までを期間とした。 |
健康日本21の最中である2003年に「健康増進法」が施行されました。
この法律は、健康日本21を法的に支える基盤としての役割を持ち、個人・行政・学校・事業者などが、それぞれの立場で健康増進に努めることを義務付けました。
医療システムの概要
医療情報の公開義務のほか、さまざまな仕組みが導入されました。
インフォームドコンセント | 検査や治療法を患者に対して説明し、同意を得ること。 |
アカウンタビリティ | 検査や治療法の説明責任。 |
EBM | 治療効果について、客観的事象や統計データに基づいて決定すること。 |
セカンドオピニオン | 患者が受けている検査や治療法を、他の医療機関関係者の意見を聞くこと。 |
クリティカルパス | 治療方法や内容が時間軸に沿ったスケジュール式であり、医療の質を改善するマネジメントのこと。 |
診療報酬
診療報酬とは、保険診療の価格のことを言います。
この基準は
厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会に諮問して決定される
となっています。
診療報酬は2年ごとに改定がされています。
似たようなものに介護診療報酬というものがあり、こちらは3年ごとに改定されています。
病院での明細を見ると、診療報酬点数というものが載っています。この診療報酬点数は1点10円と定められています。
診療報酬の支払いは
- 出来高払い方式→医療行為ごとに点数を合算して請求する。
- 包括(定額)払い方式→診療内容に関わらず一定額を請求する。
の2種類があります。
在宅医療を支援する診療報酬制度
2006年度の改定で、自宅での終末期ケア(ターミナルケア)対策として在宅療養支援診療所が新設されました。
これは24時間連絡を受ける医師または看護職員を配置し、連絡先を患者宅に示すといった要件があります。
また同2006年、在宅医療で患者が亡くなるまで看取った場合の在宅ターミナルケア加算も新設されました。
終わり
今回はここまでです。
保健医療サービスがどのようなものなのか、保健医療を行った時の診療報酬がどのように決定されているのかをまとめました。
次回は保健医療サービスにおける「専門職の役割とその実際」を整理していきます。